FBIが孔子学院を捜査 スパイ活動を全米のFBI支部が把握している
2018.02.21
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《本記事のポイント》
- 上院情報委員会の公聴会で、FBIが孔子学院を捜査していることが判明
- 中国政府の組織的な情報収集活動に懸念の声が上がっている
- 日本は武力を介さない「ソフト・ウォー」を警戒すべき
米連邦捜査局(FBI)が、中国政府系の教育機関「孔子学院」について捜査を進めていることがこのほど、明らかになった。
13日に行われた上院情報委員会の公聴会で、クリストファー・レイFBI長官がフロリダ州の共和党上院議員マルコ・ルビオ氏からの質問に答える形で明言した。アメリカ国内に広がる孔子学院について、スパイやプロパガンダ活動に関わっている疑いから、すでに捜査を行っているという。
ルビオ氏は公聴会で、中国人留学生がアメリカに及ぼす危険性について質問し、レイ長官は次のように答えた。
「私たちは、孔子学院をめぐる懸念を共有しており、同学院への捜査をすでに行っています」「従来とは異なる、特に教育という分野において、教授や科学者、学生が情報収集要員として活用されています。これは、全米にあるほぼすべてのFBI支部が把握していることです」「大学関係者はこのことに対して非常に無防備です。アメリカはオープンな研究開発の場を尊重していますが、彼らはそこにつけ込んでいます」
公聴会ではこのほか、通信企業などを通じた機密情報へのアクセスなど、中国政府による組織的な情報収集活動に対する懸念の声が多数挙がった。
グローバル化の名の下に広がった孔子学院
ルビオ氏は5日、ノースフロリダ大学やサウスフロリダ大学をはじめとするフロリダ州の教育機関5校に向けて、孔子学院との関係を絶つことを求める書簡を送っていた。同氏は、孔子学院が中国の歴史を歪曲して伝えているとし、書簡でこう述べた。
「中国政府が、孔子学院や他の方法を利用して、外国の教育機関および中国の歴史や現在の政治に対する批判的な分析に対して影響を与えようと、ますます積極的に試みていることについて懸念が高まっています」
「グローバル化」という名目でもって、多数の教育機関が孔子学院を受け入れた結果、同学院は全米ですでに100校以上存在している。
ルビオ氏が書簡を送ったノースフロリダ大学のジョン・ディレーニー学長は、孔子学院を開設した2014年、「孔子学院の開設は、グローバル社会に準備する契機となり、大学にとっても学生の未来にとっても素晴らしい投資となるでしょう」と語っていた。
記者が留学したアメリカの大学でも、孔子学院の活動が盛んだった。同学院が主宰する文化体験などのイベントが定期的に行われ、大学職員や学生、近隣に住む中国人などが多数参加していた。
大学職員や現地の学生は、孔子学院が提供する"文化交流"を純粋に楽しんでいるようだったが、他のアジアの留学生は中国のプロパガンダ活動であると見抜き、冷ややかだった。
あるイベントで、「中国の伝統ダンス」と称した踊りを披露する中国人留学生を見て、友人のベトナム人は「あれは中国ではなくて、チベットの踊り。ああやって他国の伝統文化まで侵略していくのよ」と私に耳打ちした。別のイベントで「中国は多民族国家」として紹介され、ウイグル族やチベット族、モンゴル族などが当然のように中国国民として説明されたことに対して、モンゴル人の友人が「へぇー、中国って多民族国家だったの!? 知らなかったわ」と皮肉ったこともあった。
もちろん、すべての中国人留学生や教授がスパイ活動に従事しているわけではないが、孔子学院の脅威はアメリカで明らかになりつつある。日本も、武力を介さない「ソフト・ウォー」に無防備であってはならない。
(片岡眞有子)
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