日米両紙で「日本の核装備」が議論に 「日本の核装備は脅威ではない」との声も
2017.09.07
《本記事のポイント》
- 6日付の日米両紙で日本の核装備が議論に
- アメリカからは日本の核装備を求める声も挙がっている
- 日本は世界の声を冷静に分析し、具体的な戦略を練る必要がある
いつ北朝鮮が他国への攻撃に踏みきるかも分からない状況で、日本の核装備を真剣に議論する声が国内外で挙がってきている。
5日のジュネーブ軍縮会議で、スイス・ジュネーブに駐在する北朝鮮の韓大成(ハンテソン)国連大使は「アメリカには今後もわが国から『贈り物』が届けられるだろう」と発言した。「贈り物」の正体は明かされていないが、北朝鮮国内ではICBM発射に向けた動きが確認されており、緊迫が高まっている。
6日付の産経新聞では、福井県立大学教授・島田洋一氏が、北朝鮮の核兵器が日本の安全保障を脅かしている現在、日本の核装備について現実的に議論する必要があると述べた。
同紙の東京特派員である湯浅博氏も、同日付の国際面で、日本の核兵器保有の可能性について語った。湯浅氏は、「自前での核開発」以外の選択肢として、「米国製の核の配備」や、「米国との核シェアリング」を提唱している。両氏とも、「専守防衛では国を守れない」という論調だ。
同日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルにも日本の核装備についての意見が掲載された。
ハドソン研究所の研究員と米バード大学教授を務めるウォルター・ルッセル・ミード氏による寄稿では、米軍がアジアから撤退することへの疑問を呈しながら、日本の核装備の可能性について議論している。
ミード氏自身は核装備の是非には明確に答えを出さないまでも、北朝鮮や中国の台頭でアジア情勢が緊迫する中、日本や韓国、台湾が核装備することが中国の野心を制止し得ると示唆。トランプ大統領を含め、東アジア諸国の核保有を、敗北ではなくアメリカ外交の勝利だと見る人もいるだろうと述べた。
日本の核装備が選択肢の一つとして語られるようになってきていることは、大きな変化だ。
日本の核装備が平和をもたらす!?
日本の核装備に対しては、さらに積極的な意見も米紙で散見される。
米紙アリゾナ・リパブリックのコラムニストを務めるロバート・ロブ氏は1日、「北朝鮮は核兵器を持っている。韓国と日本にも核が必要だ」と題した社説を打った。
小国の北朝鮮がこれほどの脅威となっている理由について、北朝鮮が核兵器を有する一方、日本と韓国が核装備していないためだと論じた。その上で、米国による保護について、「もし北朝鮮がアメリカに対して核による報復能力を有すれば、アメリカは韓国や日本を積極的に守らなくなるだろう」と述べた。また、中国の脅威にも言及し、このように記している。
「中国は地域の覇権国家を目指しているのだろう。韓国、特に日本はアメリカが中国へのカウンターバランスになってくれることを望んでいる。これは長期的な解決策ではない。日本や韓国が核装備すれば、中国の侵略を恐れる必要はなくなる。核拡散防止条約は善人を動けなくするだけだ。イギリスはおよそ200基、フランスは300基の核兵器を持っている。彼らが私たちを眠れなくすることはない。核装備した韓国や日本も同様である」(1日付アリゾナ・リパブリック電子版)
国際アナリストのアンダース・コアー氏は、北朝鮮や中国の脅威を主張し続けている人物だ。コアー氏は1月に経済紙フォーブズ誌に寄稿した記事で、日本が「他国が経験したことのない核戦争の恐怖を知っている」国であるとし、「北朝鮮や中国などの国を除き、日本の核装備を脅威と受け取るような重大な分析は出ない」などと断じた。
「これは日本にとっていい機会だ。日本はこの機会を失う前に、トランプ大統領の合図に従って核装備すべきである。より強くなった日本が中国を監視することによって、日本との同盟関係は強化され、戦争の可能性は低くなり、そして私たちはより安全になる」(1月31日付フォーブズ電子版)
こうした核装備論からは、日本への高い信頼や期待がうかがえる。
日本国内で、核装備についての議論はタブー視されている。しかし、核保有国の軍事拡張という現実の危機に面している今、日本は世界各国が自国をどのように評価し、どのような役割を期待しているのか客観的に分析した上で、具体的な戦略を考える必要があるだろう。
(片岡眞有子)
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「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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