中国の「6中総会」 習主席の権力集中に向けた動き
2016.10.26
中国共産党の重要会議である、第18期中央委員会第6回総会(6中総会)が北京で行われている。主な議題は、「党内規律の強化」。2017年秋に開かれる5年に1度の党大会に向けて、さらなる権力集中を目論む習近平・国家主席にとって、節目となるイベントだ。
習氏は、これまで「反腐敗キャンペーン」を行ってきたが、それは政敵をつぶすための権力闘争の「道具」と言える。
習氏は、建国に尽力してきた共産党高級幹部の子弟グループである「太子党」に分類されるが、「共産主義青年団(共青団)」を出身母体とする李克強首相や胡錦濤・前国家主席らや、「上海閥」と言われる江沢民・元国家主席らと、熾烈な権力闘争を繰り広げている。
その中で習氏は、元公安トップの周永康氏、元制服組トップの徐才厚氏、胡錦濤氏の側近だった令計画氏などの幹部も次々と摘発。これまでに党員ら101万人を規律違反で処分してきたという(25日付朝日新聞)。
問題の中心にいる中国がG20フォーラムを欠席
この中国が、今月21日にパリの経済協力開発機構(OECD)本部で開かれた、鉄鋼の過剰生産問題について話し合う「国際フォーラム」の初の準備会合に誰も参加せず、正当な欠席理由の説明もなかった(25日付産経新聞)。
同フォーラムの設置は、中国・杭州で9月に開かれたG20首脳会議の宣言に盛り込まれたもので、議長国として宣言を取りまとめたのは中国だった。この問題の"メイン・アクター"は、世界の鉄鋼生産過剰分の約60%を占めている中国自身。会合の欠席は、その宣言を無視した格好になる。
中国の最高指導部メンバーが大幅に入れ替わる来年秋の党大会に向けて、国内の権力集中を進める習氏は、6中総会が開かれるタイミングで、国際社会の批判の的になることは避けたかったとみられている。
習氏の独裁体制は2027年まで続く?
来年秋に開かれる党大会では、最高指導部である中国共産党の政治局常務委員7人や、それを支える政治局員25人が決まる予定。
現常務委員のメンバー7人のうち、習主席と李首相を除き、「江沢民派」と見られる4人を含む5人は引退する見通し。
その中で、習氏は、「68歳で引退」という指導部内のルールを改め、定年を延長させようという動きを見せている。習氏が2期10年の任期を終える2022年、習氏は69歳となるが、引退せず、異例の3期目への続投を見据えているようだ。
中国は「国民の幸福」を実現すべき
ただ、こうした中国の政争に抜け落ちているのは、「国民の幸福」という点だろう。
共産党の一党独裁で、民主的な選挙がない中国では、国民が国会などの議員を選ぶことはできない。表立って共産党を批判することも許されず、批判する人々は投獄されたり、"行方不明"になったりする。反抗する国民を鎮圧する軍隊や警察は、すべて「共産党の軍隊」であり、「共産党の警察」である。
だが、本来の政治の目的は、国民を幸福にすることにあるのではないか。共産党のために国民がいるのではなく、国民のために政府がなければならない。
日本やアメリカなど、外交や貿易などで中国と深く関わる民主主義国は、中国に現行の政治体制を変えるよう迫ることが必要だ。
(小林真由美)
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