釈量子の志士奮迅 [第51回] - 増税で沈んだなら減税で浮かび上がる

2016.10.29

2016年12月号記事

第51回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

増税で沈んだなら減税で浮かび上がる

10月から「最低賃金額」が上がりました。

先日お話ししたある経営者は、「うちは基本給を最低賃金に連動させているので、泣きそうです。安倍政権は最低賃金を1000円まで上げると強気ですが、そんなことになったら本当に人が雇えなくなる」と悲鳴を上げていました。

最低賃金は、東京では932円。正社員・パートにかかわりなく適用されます。違反した者は、雇用者に最低賃金以下の差額を支払い、50万円以下の罰金を科せられます。

しかし、中小企業にそんな余裕はありません。景気が上向かず、その気配もありません。

それでも政府はこう言い張ります。

「景気回復は"道半ば"だ」

政治家にとっては、「ものは言いよう」かもしれません。しかし日々を必死に生きる国民にとっては、死活問題です。

日本を見切る海外投資家

日経平均株価は、海外投資家の「売り」によりピークを超えた。 写真:長田洋平/アフロ

客観的な目として、日本の景気に自分の財産を預けている、海外の投資家の判断を見てみましょう。

2016年1~9月、海外投資家による日本株の売り越し額が、6兆円を超えました。29年前にブラックマンデーが起きた時の日本株売り越し額の7兆円に迫る勢いです。

これが、何を意味するのか。海外投資家は「デフレ脱却は"道半ば"ではなく、"道が断たれた"」と判断しているのです。アメリカ大統領選、イギリスEU離脱など、不透明な世界情勢に警戒する中、「もう値上がりしない」日本株を現金化し、リスクを回避しているのです。

誰も言わない増税の失敗

日銀があれだけ金融緩和をしたのに、なぜ景気がじり貧なのでしょうか。

欧州や中国経済の調子が悪いから、夏の天候が悪かったから……。様々な説が飛びかいます。

しかし真実は、金融緩和を安倍晋三首相に勧めた張本人の一人であった経済学者、本田悦朗・元内閣官房参与が語っています。

「(平成)26年4月の8%への引き上げは間違っていた。財政を機動的に使ってデフレマインドを払拭しないといけないが、それと消費税増税はまったく逆の方向を向いていた」(注1)

そのことは、消費支出が12カ月連続で減り続けていることからも明らかです(注2)。

しかし本当のことを言った本田氏は今年3月、スイス大使として"飛ばされて"しまいました。自民党は、増税の失敗を認めるつもりはなさそうです。

民進党ならば、その失敗を追及してくれるでしょうか。否。増税の判断は、民主・自民・公明の「三党合意」によるもの。民進党の幹事長に就任した野田佳彦・元首相も責任の一端を負っています。

かくして、「アベノミクスは消費税で失敗した」というシンプルな真理について、政治家は皆黙っているのです。

(注1)2月22日付産経新聞。
(注2)うるう年の影響を調整。

減税という「新しい選択」

今、永田町では「解散風」が吹いていると言われています。野党は共闘し、メディアで報じられるのは「自民党系 対 民進党系」という二択の構図ばかり。

しかし、自民党も民進党も「増税政党」です。消費税10%への引き上げも、延期しただけで、数年後に迫っています。日本国民は、増税の道しか選べないのでしょうか。

私たち幸福実現党は、日本人の「新しい選択肢」として、消費税を5%に戻すことを訴えます。実際に、2009年の立党以来、一貫して消費税率の引き上げに反対してきました。

減税こそ最強の景気対策

公共投資頼みの経済対策では、建築業など一部の業界にお金を落とすだけ。しかし消費減税は、本稿を読んでいる皆さんをはじめ、全国民に必ず行き渡ります。景気浮揚の効果はバツグンです。

「消費税3%分の7・5兆円の財源はどうするのか」というお声も頂きます。

しかし、政府の予算全体から見れば、大きな額ではありません。先日、成立した第二次補正予算は3兆円。本予算は過去最大の96兆円です。そもそもが、消費増税の影響を緩和させるために膨らんだ予算です。

とにもかくにも、景気をよくしようではありませんか。消費増税で沈んだ景気なら、消費減税で浮かび上がらせることができます。


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