スーダン南部の分離・独立の是非を問う住民投票が9日から始まっている。投票は南部の住民により 15日まで続き、賛成が過半数に達すれば、約半年の移行期間後、7月には新国家が誕生する。
スーダンでは 1955年以降、イスラム教徒中心の北部とキリスト教徒中心の南部との間で内戦が続き、計約200万人が死亡。05年に英米などの仲介で和平合意に至り、それに基づいて今回の投票が行われている。
賛成多数となるのは確実な見通しだが、8日にも南北国境や南部で戦闘が起きるなど、南北間で争いの火種が残り、独立後も調整が難航しそうだ。
南北対立の主な原因の一つが、南部に集中する油田の利権。石油輸出の関連施設は北部にあり、石油収入の分配を巡って対立が続く。特に南北国境のすぐ北側に位置する油田地帯のアビエイ地区は、南北が共に帰属を主張しており、帰属を決する住民投票も棚上げされたままとなっている。
米オバマ大統領は南部の独立を支持し、投票後の課題解決にも全面的に関与すると表明。北部政府が投票結果を受け入れた場合は、同国をテロ支援国家のリストから外し、国交を正常化することも示唆している。
表向き米国の目的は人道支援だが、石油の利権を確保する意図があると見られている。さらに中国もスーダンへの関与を深めており、多くの中国企業が南部で油田採掘やインフラ整備を手掛けているという。
このように国内の宗教対立と石油利権を狙う各国の思惑が絡むスーダンは、独立後も事態の収拾に向け、多大な努力が要されるだろう。(由)
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