ユーロ圏の首脳会議が22日、ベルギーのブリュッセルで開かれ、金融支援を受ける条件としてギリシャ政府が提示した改革案について協議した。ユーロ圏側は一定の評価をしたが、支援するか否かの結論は出なかった。25~26日に開かれる欧州連合(EU)首脳会議で改革案の合意を目指しているが、合意に至るかは未知数だ。

もし、ギリシャの改革案が合意されれば、ギリシャはEUから72億ユーロ(約1兆円)の金融支援が受けられるようになり、今月30日が返済期限に迫る国際通貨基金(IMF)への債務、約15億ユーロ(約2100億円)の返済が可能となる。

だが、合意されなければ、ギリシャは債務不履行(デフォルト)に陥る。その後も7月17日に民間債権者へのギリシャ国債の利払い0.7億ユーロや、7月20日に欧州中央銀行(ECB)の保有するギリシャ国債35億ユーロの返済を控えている。

ギリシャが提示した改革案は明らかにされていないが、各紙の報道によると、企業や中間所得者への増税、国防費の削減、付加価値税の引き上げなどであるという。このような緊縮政策は、ドイツを中心としたEU側が求めてきたものだ。

ギリシャには「自立する精神」と「国を発展させようとする志」が必要

EU圏では、緊縮政策による財政健全化を進める国が多いが、EU圏の何カ国も財政健全化を行うと、下手をするとEUの経済圏が縮んでしまうだろう。それが世界に波及し、世界的な恐慌につながる可能性もある。

EUの金融危機を根本的に解決するためには、ギリシャを含むEU各国が金融面、財政面、政治面において自立することだ。人間関係と同様、自立した国同士でなければ、良き関係を維持することはできない。また現在のEUは弱小国家集団となっていて、他国からの支援ばかりを求めて「自分たちの国をもっと素晴らしい国にしよう」という志がない国が多いように見受けられる。

EU加盟国は共通通貨ユーロを採用しているため、自国に通貨発行権がないが、これは主権を失ったに等しい状態だ。ギリシャは一義的に、他国からの金融支援に頼るのではなく、自立して国民の勤勉性、自助努力の精神、創意工夫などの力によって国を再建させるべきだろう。(泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『未来への国家戦略』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=70

幸福の科学出版 『もしケインズなら日本経済をどうするか』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=3

【関連記事】

2015年6月18日付本欄 ギリシャのデフォルト不可避? 財政が「制御不能の危機」に突入

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9768

2015年6月6日付本欄 ギリシャがIMFへの支払いを延期【Weekly Watch国際政治】

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9725