香港の行政長官を選ぶ選挙において、中国政府の意向に合わない立候補者を事実上「封印」できる改革案が否決された。香港で世界標準の選挙制度が維持されるかどうかは、今後も注目されるだろう。
香港の「天安門事件」追悼集会が4.5万人減
そんな香港の民主主義の前途を占う上で、一つ重要なデータがある。
それは、4日に香港で開催された天安門事件の追悼集会の参加者が、18万人から13.5万人へと激減しているという事実だ。
19日付産経新聞(電子版)では、昨年の香港デモを主導した「香港専上学生連会(学連)」が、同追悼集会への不参加を表明したことを取り上げている。
学連は、追悼集会を主催する民主派団体が『民主的な中国の建設』を掲げていることに反発。香港の民主化を優先するべきだと主張する。同記事はこうした現象を、香港の若者の「脱中国」志向と、「香港人アイデンティティー」の強まりを示す動きとして注目している。
中国に無関心では 「革命」の先行きは怪しい
香港人としてのアイデンティティーが高まることは、中国からの独立を確保する上で重要だ。しかし、香港で天安門事件や中国民主化を他人事としか捉えない若者が増えていることは、問題ではないだろうか。
昨年の「雨傘革命」と言われたデモが尻すぼみになったことを見れば、香港の民主化勢力のみで、中国共産党の圧力を跳ね返すことが難しいのは明らか。香港の民主化勢力は、中国内の民主化勢力とも連帯し、天安門事件の重大性を世界に訴えることで国際的な支援を得るべきだ。
日本も天安門事件に関心持つべき
翻って日本も、「天安門事件」に無関心であってはならない。事件の真相解明を中国政府に要求することで、中国と香港の民主化勢力を支援すべきだ。また、「現代に起きた人権弾圧を謝罪できない中国に、歴史問題で他国に言いがかりをつける権利はない」とも、はっきり主張しなければならない。
天安門事件から26年が経ち、世代交代もあった。香港でも中国でも、事件や中国民主化に無関心な若者は増えている。当時の記憶を生々しく覚えている人々が民主化運動を担っている間に、国際的に協調し、中国に事件の清算を求めるべきだ。(遠)
【関連記事】
2015年6月18日付本欄 香港で選挙改革案が否決 日米欧は「中国の香港化」に支援を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9769
2015年6月4日付本欄 天安門事件から26年 遺族が共産党批判の声明を発表 中国に「自由の革命」を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9721
2015年6月3日付本欄 中国客船事故 情報統制で何を守るつもりか