安倍晋三首相は4月の日米首脳会談で、オバマ米大統領の意向に反して、プーチン露大統領との対話を継続していく方針を伝えていたことを、16日付読売新聞が報じた。
記事によると、会談でオバマ氏は、ウクライナ問題について、ロシアへの制裁を強めていく協力を日本に求めた。これに対して安倍首相は、「日本にとっては、隣国である中国、ロシアとの関係も大事だ。中露両国が結束し、日米などとの対決姿勢が不必要に強まれば、東アジアは不安定になる」「プーチン氏との対話は断固として続ける」と強い口調で伝えたという。
また、昨年11月に予定していたプーチン氏の訪日についても、年内の実現に向けて調整するとした。
その2週間後、ロシアを訪問したケリー米国務長官は、ラブロフ外相とプーチン氏と会談。1時間を予定していたラブロフ氏との会談は4時間に及び、両国の高官による協議を活発にすることで一致。その上、ケリー氏は、米露が同盟国として戦った第2次大戦の独ソ戦の記念碑に献花。ウクライナ問題の改善に向け、進展を期待する声も聞かれる。
ケリー氏の訪露は、ウクライナ問題が起きて以来初めてで、2年ぶり。強硬な姿勢を取り続けてきたアメリカの変化の裏には、安倍首相の「対露方針」が影響しているのかもしれない。
実は、このウクライナ問題について、欧米諸国が「ロシアは許せない!」と鼻息が荒かった昨年4月当時、大川隆法・幸福の科学総裁は、日本の取るべき外交スタンスについてこう語っていた。
「 (ロシアへの)圧力のかけ方によっては、下手をすると、ロシア・中国が、もう一度つながり、さらに、イスラム諸国までがつながってまとまり、『ロシア・中国・イスラム圏』で一つの塊をつくる可能性が極めて高い 」「 ロシア問題があまり緊迫したものにならないように、日本のほうからアメリカに話をして、仲立ちに入るぐらいでなければいけません 」( 『自由の革命』 所収)
今回、報じられた安倍首相の対露方針は、大川総裁が1年以上前に示したものとぴったり重なる。
日米同盟は重要であり、アメリカと協力していくことは大事である。だが、アメリカの判断が世界を不幸にするのであれば、日本は自ら「地球的正義とは何か」を発信しなければならない。
キリスト教的なアメリカの価値観では世界をまとめられなくなっている今、日本は、アメリカをもリードする新しい価値観によって、国際社会に真の平和をもたらすべきである。(居)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『自由の革命』 大川隆法著
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