ウクライナ東部の戦闘は、泥沼の様相を呈している。

ロシアのプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領とが12日に停戦で合意したにも関わらず、戦闘が止まる気配はない。18日には、親ロシア派が東部の要衝を制圧したとの情報も入った。

この戦闘が始まったきっかけは何だったか。振り返れば、ウクライナの財政問題にある。

ヤヌコビッチ前ウクライナ大統領時代の2013年12月、ロシアはウクライナに150億ドル相当の支援を行うことで合意。しかし、欧州連合(EU)加盟を主張する親欧米派はクーデターを起こし、ヤヌコビッチ氏は国外追放される。ウクライナの政権は崩壊し、ロシアはクリミアのロシア系住民の保護を理由に軍事介入を行った。

2014年3月には、住民投票を経てクリミアが独立を宣言したため、ロシアは編入を表明する。国際社会はロシアが国際法に違反してクリミアに侵略したとして、経済制裁を行った。

その後、親ロシア派がロシア系住民の多いウクライナ東部で住民投票を経て独立を宣言。ウクライナ軍と東部の反暫定政権との戦闘が始まり、ロシアからは義勇兵が入っている。昨年9月に一度停戦合意がなされたものの、結局なし崩しになり、現在に至っている。

つまりこの戦闘の背景には、ウクライナが経済支援を「EUに求めるか、それともロシアに求めるか」の対立がある。ウクライナは現在、国家破産の危険が迫っており、IMFの支援を受けて何とか息をしている状態だ。

沈みゆくEUにウクライナは救えない

ただ、EUこそ厳しい状況である。EUは、破産寸前のギリシャへの支援を今月中に打ち切る可能性も高まっている。ギリシャだけでなく、EU加盟国の多くが財政赤字に苦しんでおり、しかも緊縮財政によって、経済成長は停滞している。EUに破産寸前のウクライナを救えるだけの力があるはずがない。

今や、ロシアは北朝鮮と経済協力を強めており、金正恩第一書記の初外遊先としてロシアが候補になっているほどだ。こうした状況からは、ロシアが経済制裁で相当の痛手を受け、孤立しつつあることがよく分かる。

このままでは、ロシアとウクライナが共倒れになりかねない。

それだけではなく、ロシアが欧米、そして日本から切り離されてしまえば、中国や北朝鮮といった無神論の軍事国家・独裁国家と連携することもあり得る。日本は、欧米の価値観に盲従するのではなく、大きな視点で外交政策を進める必要がある。(晴)

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