オバマ米大統領の一般教書演説について、外交政策に関する内容が、多くの識者から非難されている。

米ワシントン・ポスト紙(21日付)の記者、ジェニファー・ルービン氏が、演説の中で外交に関する部分を「幻想」の産物として、「大統領は、本当に自分の言葉を信じているのか?」と厳しく批判。オバマ氏の外交に対する認識と、現実との間には明らかなギャップがあると、以下のように指摘する。

  • イスラム国に関して、オバマ氏は「アメリカの指導力や軍事力は、イスラム国の前進を阻みつつある」とした。しかし、邦人殺害予告が出た矢先にこのような発言をしても、説得力に欠ける。また、イエメン内戦やパレスチナ・イスラエル問題にしても、紛争や対立は激化する一方だ。

  • イランの核開発問題にして、オバマ氏は「核開発の進行を止め、彼らが持つ核物質の量を減らすことに成功した」と言った。しかし、ある専門家は、核交渉が続いている間に、イランは核兵器1発分の核物質を製造したことを指摘。イラン側が、交渉を時間稼ぎに使っている可能性がある。

  • ウクライナ問題でも、「アメリカは同盟国と共に立ち、ロシアは孤立して経済が崩壊しかかっている」と発言していたが、「そんなものが外交上の成功と呼べるのか?」という手厳しい批判もある。

ルービン氏によると、オバマ氏の外交に対する考え方が、これほど現実とかけ離れている理由として、3つの可能性が挙げられるという。(1)オバマ氏の周りに現実感覚を失った補佐官しかいない、(2)自ら現実逃避している、(3)それとも、嘘だと知りつつ発言している――。いずれにせよ、オバマ氏の外交に関する見識は、多くの識者に不安を抱かせていると指摘する

イスラム国やイスラム・テロ、ウクライナ問題、中国の軍拡など、ここ数年、世界的に混乱が広がっているが、どうやらオバマ氏は、それらの問題をあえてバラ色のレンズで見ようとしているらしい。

これは中国の脅威にさらされている日本にとって他人事ではない。

例えば、尖閣諸島を巡って日中の間で紛争が起こった場合、オバマ氏は「アメリカは日本を支持する」と「いうだけ」で終らせようとする可能性も高い。

それどころか、今後、内向き化するアメリカが、米軍をアジアから撤退させ、「アジアのことは、アジアの国で解決すべき」などと、中国の軍拡を傍観するようになるかもしれない。急速に不安定化する世界の中で、日本はアジアのリーダーとしての気概を持ち、より一層の国防強化を進めるべきである。(中)

【関連記事】

2015年1月21日付本欄 オバマの一般教書に異議あり 「テロ対策」より「バラマキ」か!?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9076

2014年12月7日付本欄 世界の核兵器政策<中東編> アメリカはイランの核開発を止められるか?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8871

2015年1月号記事 安倍首相は何に成功し、何に失敗したのか - 「『自由を守る国へ』─国師が語る「経済・外交・教育」の指針─」 - 大川隆法総裁 法話レポート

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8779