中国がこのほど、2015年度の軍事予算を、前年比で10%増額することを発表したと、各紙が報じている。これは、7.4%という去年のGDP成長率を上回る数字だ。
中国が2ケタ台の増額をするのはこれで5年連続であり、今年の公式的な軍事予算は1450億ドルとなる。これに比べ、日本の2015年度防衛予算は420億ドル(4.98兆円)、中国の3分の1以下だ。
また、中国の軍事予算には戦略軍(核兵器部隊など)、海外からの兵器輸入、兵器開発・研究、そして非正規軍などは含まれていない。そのため、一部の専門家の間では、実際の軍事予算は発表されている額より50%も高い可能性があるとも言われている。
問題はこの軍事増強が「何のため」なのかということだ。
中国政府の傅瑩(ふ・えい)報道官は、「他の大国と比べて、中国軍が近代化するのは難しい。我々は、自分たちで兵器を作り、研究をしなければいけない。根本的に、中国の防衛方針は自衛的である」「実際、中国と他の大国の間には、所持している兵器に大きな差がある。遅れを取れば、自らが攻撃の対象になりかねない」という見解を発表している。
しかし、広大な領土と人口、世界一の規模の陸軍、そして核兵器まで持っている中国を、理由もなく攻撃する国がいるだろうか。
中国の軍事費増の内容や目的に関する不透明性については、以前から欧米や日本が批判してきた。「自衛のため」という中国側の主張とは裏腹に、その行動は明らかに侵略性を帯びている。ここ数年だけでも、日本や東南アジアの国々、そしてインドなどを相手に、領土を勝手に自分の物と言い張り、軍事力でそれを既成の事実へと変えようとしているのだ。
今回の軍事予算増額の発表は、これからも中国のアジア覇権政策が激化していくことを暗示している、と考えるのが自然だ。
アメリカが軍事予算を削り、世界の警察官から引いていこうとする中、日本は自国の安全保障だけでなく、アジア諸国の自由と安全を守るための国家戦略を持つべきである。(中)
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