政府は、昨年に続き2年連続の賃上げに向け、経済界に協力を要請しています。安倍首相は先月、東京都内のホテルで開かれた時事通信社などが主催する新年互礼会に出席し、「今春の賃上げが実現すれば、デフレではないという宣言ができるのではないか」と述べました。

毎日新聞が6日にまとめた、国内主要企業を対象とした景気に関するアンケートによると、全体の21%が、2015年度の従業員の賃金を上げる方向で検討すると回答。昨年と比べて大幅に増加したことが明らかになりました。

実質賃金は低下

景気は緩やかに回復しており、消費増税の反動減の影響が和らいでいるという見方をする企業が多いですが、消費増税や円安による物価の変動を差し引いた実質賃金は低下しています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2014年の実質賃金指数は2.5%減と3年連続の減少。この減少幅はリーマン・ショックが起こった2009年の2.6%減に次ぐ数字です。

安倍首相は賃上げに前向きですが、果たしてこれは正しい政策なのでしょうか。ここでは政府が賃上げを要請することの弊害について考えていきましょう。