2015年3月号記事
スッキリわかる中東問題【後編】
パリ新聞社襲撃事件
イスラム・テロをなくす道 Part2
パリの新聞社襲撃事件以外にも、イスラム国の台頭やパレスチナ自治区ガザへの空爆など、中東発祥の兄弟宗教であるユダヤ・キリスト教とイスラム教の争いは絶えることがない。
2014年12月号に続き、中東問題の核心に迫る後編をお届けする。
(編集部 大塚紘子、長華子、只木友祐、中原一隆、冨野勝寛)
contents
Part2 ユダヤ
第2次大戦後の建国以来、
ユダヤ人国家イスラエルは、
土地を奪われたパレスチナ人や、
周辺のイスラム諸国との紛争を続けている。
パリの新聞社襲撃直後の立て籠もり事件で、
ユダヤ人向け食品店が狙われたことにも、
この対立が影響している。解決の糸口はあるのか。
なぜユダヤ人向け食品店が狙われたのか
イスラム系移民も多いフランスでは、反ユダヤ主義的な襲撃事件が急増している。今回のパリ新聞社襲撃直後にユダヤ人向け食品店が襲撃されたのも、この「イスラム 対 ユダヤ」の構図の中での事件だ。特に2014年夏のパレスチナ自治区ガザへの空爆は過剰だとして、イスラム教諸国のみならず欧米でも、ユダヤ人国家イスラエルへの批判が高まっている。
「神が約束した土地」
イスラエルの歴史は、1948年の建国よりはるか昔にさかのぼる。ユダヤ教の聖典『旧約聖書』によれば、紀元前11世紀ごろ、中東の地にイスラエル王国が成立し、ダビデ王やソロモン王などが治めていた。
ユダヤ人にとって、イスラエルの地は極めて重要な宗教的意味合いを持っており、「神がユダヤ人に約束した土地」と信じられている 。
しかし、イスラエル王国は隣国に攻められるなど様々な歴史を経て、紀元後2世紀にローマ帝国に滅ぼされ、ユダヤ民族は世界中に離散。以来、イスラエルの地に帰還し、国を再建することはユダヤ人の悲願となった。
第2次大戦後、アメリカの支援を受けて建国を果たすと、イスラエルは中東唯一の民主国家として栄え、世界最強レベルの軍事力を持つようになる 。
数十万人のパレスチナ人が家を追われた
しかし、滅亡の悲劇から1千数百年かけて国を再建した歴史には、「陰」もある。 1948年のイスラエル建国に伴って、その地に住んでいた数十万人ものパレスチナ人が家を追われ、難民となった。
イスラエル建国は国連に認められていたとはいえ、パレスチナ人にとって受け入れられるものではない。当然、パレスチナ人や彼らを支援するアラブのイスラム諸国は反発し、半世紀を経た今も紛争が続いている。
シリア レバノン イスラエル エルサレム ヨルダン サウジアラビア エジプト 地中海 パレスチナ自治区ガザ パレスチナ自治区西岸
ユダヤの影響力はなぜ大きいのか
イスラエルとパレスチナは和解できるか
ユダヤ人が成功した理由