貿易自由化を一気に進める環太平洋経済連携協定(TPP)参加にからんで、農地購入の自由化論議が活発になっているが、農水省が真っ向から反対している。

1月8日付朝日新聞の記事から一部引用すると、
・  篠原孝農水副大臣は「企業の農地所有を認めれば、不当に転売したり、農地をほったからしにしたりしかねず危険」と説明。
・   だが、企業に参入障壁を設ける裏では、農家による農地転用が進む。転用許可の権限は、農家代表らでつくる農業委員会が事実上持っており、既得権益化しているのだ。
・   (1961年以降)岩手県と青森県をあわせた面積に等しい250万ヘクタールの農地が失われた。

農業問題は結局は農地問題だ。
12月3日付日経新聞で、神門善久・明治学院大教授は、「いつかは農地を転用できることを彼ら(意欲のない農家)は当て込んでいる」「転用期待で農地が放出されないことが農業の新陳代謝を悪くしている」と指摘している。
いかに農地売買を流動化するかが課題なのだ。
ヒントはフランスの戦後の農地改革にある。フォール駐日仏大使はこう述べている。
「大きな役割を果たしたのが農地売買を仲介する公的機関、農村土地整備公社だ。売りに出された農地を優先的に購入できる権限を持ち、後者が買い上げた農地を、規模拡大の意欲を持つ近隣農家に転売する。このシステムにより大規模化が実現し、宅地や農業地への転用も防げた」(2010年12月22日付読売新聞)
こうした制度を取り入れて、「平成の農地解放」を実現したい。(織)

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