2010年2月号記事
誤解に基づく宗教税制論議
「聖」の領域に国家は介入できない
政府税調で「課税」提起
政府の税制調査会で10月下旬、委員の一人である経済産業副大臣がある提案を行った。
「宗教法人の税制について少し御検討いただけませんか。これはやはり国民的な視点から言えば、問題ありという声が多いんです (中略)。国民的な視点からすれば、宗教法人に対する税のあり方というものを、私は民主党だからこそ見直すべきではないかという気がいたしております」
深刻な税収不足に苦しむ現政権の副大臣が「見直し」という言葉を使う以上、「宗教法人の非収益活動に対しても課税する」ことを意味するのであろう。
しかし、この問題提起には大きな誤解があるようだ。そもそも「宗教がなぜ非課税なのか」が十分理解されていない。
特権ではない宗教「非課税」
前提として押さえておかなければならないことは、「法人税は所得税の前払い」という日本やヨーロッパの制度原理からすれば、宗教の「非課税」は特権ではないということだ。
非営利組織である宗教法人は利益を構成員で分配しない。利益を分配しないのであれば、いくら余剰資金が発生しようとも、基本的に法人税の課税対象は存在しない。これが「非課税」の一つの根拠であり、特権が与えられているのではないのだ。