設置を「不認可」とされた幸福の科学大学をめぐる問題で、同大学の開学を目指していた学校法人幸福の科学学園(理事長・木村智重)が、約60回にわたる文部科学省や大学設置・学校法人審議会大学設置分科会(以下、審議会)とのやり取りの中で、一度も指摘されなかった論点を、最後に突き付けられて不認可にされていた。今回、関係者の話でその様子が明らかになった。
同学校法人は、抗弁する機会も与えられず、だまし討ちのような状態で「不認可」にされたことになる。
幸福の科学大学をめぐっては10月29日、審議会が設置の「不可」を答申。31日、文部科学省は、下村博文・文科相名の書類を添え、同学校法人側に正式に「不認可」を伝えた。
同学校法人の幹部らが31日、文科省に出向いた際、渡された下村文科相名の「幸福の科学大学の設置を認めない理由」という文書では、「設置の趣旨・必要性、教育課程」について、大川隆法・幸福の科学総裁が行っている「霊言」を大学で教えることが不認可の理由として挙げられていた。
キリスト教やイスラム教といった世界宗教が霊言から始まっていること、そして、霊言を否定すれば天理大学などの新宗教も含めたあらゆる宗教系大学が存立しえないこと。同学校法人側は、これらの点を審議会、文部省、下村文科相が理解していないことに困惑した。
そこで、同学校法人の九鬼一副理事長が、霊言以外には「是正意見」が付かなかったのかを尋ねると、文科省の新木聡・大学設置室長は「ございません」と答えたという。
同大学では、霊言について、卒業に必要な124単位(未来産業学部は132単位)中4単位の授業の、「創立者の精神を学ぶ」という1科目で参考書籍として示していたに過ぎない。同席していた同学校法人の木村理事長は、「霊言の否定は認められないが、たくさんの方々の支援で百数十億円投資したのに、たった1科目の参考書籍に問題があるだけで、すべてをつぶすのはいかがなものか。事前の相談があれば、当方でも検討の余地があった」と食い下がった。
だが、新木室長は、これまで審議会が出してきた是正意見に対して、同学校法人側が補正によってクリアしてきたことを認めつつも、「審議会は、この部分を指摘しても補正できないだろうと判断した」と、はねつけたという。
同学校法人はこれまで2年近く、文科省や審議会との間で58回にわたるやり取りを行ってきた。しかし、そのやり取りの中で、「霊言」について是正意見が付くことはなかった。つまり、審議会、文科省、文科相側は、結論の段階で、初めて「霊言」を不認可の理由に挙げており、当然、同学校法人が再検討する余地も、抗弁する機会も与えられなかったのである。
そもそも、大学設置分科会の審査運営内規の第三条には「審査の過程においては、原則として、新たな意見を付し、又はより強い意見に変更することを行わない」とある。最後になって出てきた「霊言の学問性」に関する指摘は「新たな意見」に他ならず、不認可決定の理由として「新たな意見」を持ち出すのは、明らかに内規違反である。
同学校法人は2015年春の大学開学を目指して申請を行い、並行して、認可に必要な校舎などの建設を進め、完成間近に迫っていた。9月には、全国で大学開学を願う人々が「幸福の科学大学開学を求める嘆願書」を集めた。5日間で17万5110筆の署名、約8000枚の嘆願書が寄せられ、内閣総理大臣宛てに内閣府に提出していた。
多くの人々の夢や希望が、事前の通告も相談もなく、一瞬にしてつぶされたこの大学不認可問題。審議会、文科省、文科相のそれぞれの「不当性」は、改めて議論すべきだ。
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