設置を「不認可」とされた幸福の科学大学をめぐり、同大学の開学を目指していた学校法人幸福の科学学園(理事長・木村智重)は7日、下村博文・文部科学相に対し、不認可の決定は「憲法に違反する極めて不当なもの」とする異議申立を行った。
これに先立つ10月29日、文部科学省が管轄する大学設置・学校法人審議会大学設置分科会は、同大学の設置を「不可」と答申し、これを受ける形で、下村文科相が「不認可」を決めていた。
その理由については、同大学の創立者である大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁が行っている「霊言」に対し、「霊言は大川総裁のみが行えるとされ、科学的方法に基づく実証可能性や反証可能性を有しているか否か疑義がある」「霊言を根拠とした教育内容そのものが学問として認められるものではない」などとしていた。
これを不服とした同学校法人は11月7日、下村文科相宛てに異議申立書を提出。その後、文科省内の記者クラブで新聞・テレビ計15社に向けて、記者会見を開いた。会見では、各社から「申請の過程で、文科省からはどれぐらいの是正意見がついたのか?」「申立てした際の文科省側の反応はどうだったか?」「建物を建てるのには、いくらかかったのか?」などの質問が矢継ぎ早に飛んだという。
以下は、同学校法人が訴えた、主な論点。
- 憲法は「学問の自由」を保障している。その下にある「学校教育法」「大学設置基準」などは憲法の趣旨を踏まえるべき。今回の判断は、憲法によって国民に保障された「学問の自由」を真っ向から否定・侵害するもの。
- 「霊言現象」は、宗教的行為として、憲法の「信教の自由」の保障の下にある。文科相は、国家機関が慎重な検証過程を経ることなく宗教的行為の科学的合理性を判定した旨明言した答申内容をウェブサイト上にあえて公開して、それに基づいて処分を下した。これは、信教の自由を侵害している。
- 大川総裁やその弟子が行う霊言現象は、すでに数百事例、延べ数千時間に渡って映像が記録され、その内容は、映像や書籍となって、一般人が客観的に検証可能である。
- 不認可の理由で指摘された「霊言」に関しては、今回の一連の申請手続きのプロセスにおいて一切指摘されたことはなく、説明・弁明する機会は一切与えられなかった。
- 今回の件は、学問の自由、信教の自由を侵害し、また政教分離に反する国家権力による不合理な介入であり、違憲無効であるとともに、行政裁量を逸脱している。
同学校法人の母体であり、世界に約1200万人の信者を持つ宗教法人幸福の科学は、大川総裁の霊言から始まった「霊言宗教」。これは、イエス・キリストが「天なる父」の声を聞いたキリスト教も、ムハンマドが「アッラー」の声を聞いたイスラム教も同じである。
また、例えば青山学院大学の教育方針は、「キリスト教信仰にもとづく教育をめざし、神の前に真実に生き真理を謙虚に追求し……」とあるし、上智大学も教育理念として「キリスト教精神を基底とし、真実と価値を求めて、人間形成につとめるものの共同社会である」と掲げる。
つまり、今回の文科相の判断は、新宗教を含め、すでに存在する宗教系大学の存在そのものを否定したに等しい。
同学校法人の木村理事長は、「今回の不認可の処分は、憲法違反であり、行政裁量を逸脱しています。不認可の通知があった後、入学を希望していた多くの子供たちや、その保護者が涙を流されました。不認可の撤回と、改めて認可を強く求めます」としている。
同学校法人は2015年春の大学開学を目指して申請を行い、並行して、認可に必要な校舎などの建設を進め、完成間近に迫っていた。9月には、全国で大学開学を願う人々が「幸福の科学大学開学を求める嘆願書」を集めた。5日間で17万5110筆の署名、約8000枚の嘆願書が寄せられ、内閣総理大臣宛てに内閣府に提出していた。
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幸福の科学公式サイト (異議申立書、プレスリリースをアップ中)
http://info.happy-science.jp/2014/12003/
Web特別記事 幸福の科学大学開設「不可」の背景にある自民党政治家たちの思惑
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8679
2014年10月29日付本欄 「幸福の科学大学」開設不可 大学設置審が文科相に答申
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8660
2014年9月3日付本欄 「幸福の科学大学開学を求める嘆願書」が5日間で17万筆超 国民の声に答えよ