学校法人幸福の科学学園(理事長・木村智重)が、2015年春の開学を目指して設置認可を申請していた「幸福の科学大学」について、文部科学省が管轄する大学設置・学校法人審議会は29日、同大学の設置を「不可」とする旨を文部科学相に答申した。
同学校法人によると、審議会が不可とした理由について、同大学の創立者である大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁が行っている「霊言」に対し、「霊言が根底にある教育課程は大学教育において認められない」という趣旨のことを伝えてきたという。
この「霊言」とは、大川総裁が人知を超えた霊的能力を使って、あの世の霊や地上で生きている人の守護霊を呼び、本音を語らせる「霊言現象」のこと。霊言は公開の場で行われており、その内容は著書として、これまでに280冊以上発刊されている(10月末時点)。
審議会は「霊言」について「科学的合理性が立証できていない」としている。しかし、例えばキリスト教系の大学では、イエス・キリストの復活や三位一体説などを天国や神が存在することを前提にキリスト教学を教えている。こうした神学は「科学的合理性の立証」があるわけではない。カントやヘーゲルなど哲学についても、科学的証明がなされているわけではないので、さまざまな文科系の学問が審議会の主張では否定されることになる。
大川総裁は、29日に発刊したドイツ観念論の祖・カント(1724~1804年)に関する著書『カント「啓蒙とは何か」批判』のあとがきで、こう指摘している。
「(カントの)その行為は、中世的教会権力から学問を自由にしたのと同時に、神仏・霊界・魂から人間の精神活動を遠ざける力をともなったといってよい。近代以降、ある意味で、『預言者は死に絶えた』のだ。賢明な読者にはもうお判りかと思う。現代日本で、『カント』対『大川隆法』の壮絶な思想戦が繰り広げられていることを。異端審問のガリレオの側に立たされているのは、今度は、『宗教』の側なのである。『未来の学問』が成り立つかどうか、それは宗教への尊敬の念にかかっていると言っても過言ではあるまい。」
同大学の設置認可を「不可」とした審議会の判断は、まさに「宗教」の側が異端審問にかけられた結果である。その上でなお、今回の審議会の指摘で、同大学の授業全体が霊言をベースに行われるかのような印象を与えていることも問題だ。
学校法人幸福の科学学園はこれまで、既存の学問体系に則った内容で大学の授業計画を構成・申請してきた。霊言を一部参考にした授業としては、私学の特色として当然認められるべき範囲で「建学の精神」を学ぶ科目が、1年生の前期と後期で1科目ずつ置かれているが、人間幸福学部、経営成功学部の文系2学部で、卒業に必要な124単位中4単位であり、理系学部の未来産業学部では132単位中4単位と、ごく一部である。
同学校法人が運営する、2010年に開学した幸福の科学学園中学校・高等学校(栃木県)と13年に開学した幸福の科学学園関西中学校・高等学校(滋賀県)からは、すでに東京大学をはじめとする難関大学に多くの合格者を出したり、チアダンス部が国際大会で優勝するなど、文武両道の実績を上げている。
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2014年11月号記事 幸福の科学大学 待望論