「安倍晋三首相が進める安全保障体制の見直しは、一部が懸念している自衛隊の再軍備ではない」との内容がこのほど、米誌ナショナル・インタレスト(電子版)に寄稿された。寄稿した人物は、米シンクタンクのパシフィックフォーラムのブラッド・グロッサーマン氏と、南カリフォルニア大学教授のデビット・カン氏だ。

記事の中で、両氏は、日本の再軍備を否定する理由として、「憲法の解釈変更は、(解釈を変えてもなお)厳しい制約がある」「2018年までに年3%増を目指す中期防衛計画が、すべて履行されても、(物価調整なしで)9000億円程度しか増えない」などと指摘。それに比べて、「中国の軍事費は毎年平均10%増加の約17兆円(2013年度)であり、韓国の軍事費は、日本の1人当たり防衛費と比較すると、50%も多い」と分析した。

「(世界2位と評される海上自衛隊についても)外洋海軍を目指していると見なす評論家はいない」「自衛隊の装備自体が列島・島嶼防衛に優先度を置いている」などと述べ、アメリカのパートナーになれるという期待を持つべきではないと戒めた。

両氏は、日本の取り組みはアメリカの期待値さえも下回るほどに「抑制的」と評価する一方、中韓は、“軍国主義の復活"として、対日批判を続けている。しかし、両国が日本を批判する資格はない。

「中華民族の偉大な復興」との野心を持つ中国は、攻撃兵器である空母艦隊の建造を進め、国際社会から要求されている軍事力の透明化を拒否し続けている。同国は、軍事費の額さえも正確な情報を公開していないのだ。

韓国も本来、警戒すべき中国にすり寄り、日米韓3カ国の(軍事情報共有協定の)情報共有に抵抗している。韓国の態度は、同盟国のアメリカからも、「安全保障の連携に非協力的過ぎる」と不信を買っている有様だ。

これらとは裏腹に、中国の脅威を感じる多くのアジア諸国では、日本の安全保障体制の強化を歓迎しており、“軍国主義の復活"と批判をする政府高官はほとんどいない。むしろ台湾には、中国に侵略された際、日本がすぐに助けてくれると過度に期待されている節もある。

日本は、中韓のプロパガンダに惑わされず、防衛費の増加や法制度の整備などを進め、自国の国防力強化を粛々と進めるべきだ。(山本慧)

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