2014年10月号記事

第26回

釈量子の志士奮迅

世の中は変えられる!

釈量子

(しゃく・りょうこ)幸福実現党党首。1969年東京都生まれ。國学院大学文学部史学科卒、大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。

2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

武士道の国は虐殺なんてできない

「日本三大花火」の一つ、長岡花火は、長岡空襲犠牲者への慰霊と平和祈念のために始まった。

暑い夏ですが、みなさまはどのように過ごされていますか。私にとってこの夏は、「日本人の精神性」について深く考えさせられる夏となりました。

8月上旬に「日本三大花火」の1つとして知られる、新潟県の長岡花火が行われました。私は今年、ちょうどその日に、講演のために現地を訪れました。

この長岡には先の大戦中、「模擬原爆」が落とされました。終戦直前の1945年7月20日、長岡市左近町の上空に、米軍の爆撃機B29が現れ、長崎と同じ形の爆弾に、プルトニウムの代わりに火薬を詰めた「模擬原子爆弾」を投下。もちろんその後に行う"本番"のための訓練でした。

爆弾は、畑仕事をしていた親子を直撃し、母親は即死。おぶわれていた赤ちゃんは無事だったものの、父親と共に、鉄道自殺で後を追いました。

さらなる悲劇が長岡を襲います。同年8月1日の夜半、米軍機は16万発の爆弾を投下。一夜にして1470人の市民を焼き殺しました。長岡花火は、この空襲の被害者の慰霊と平和祈念のために始まったものです。

日本はホロコーストを受けた

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米軍は日本各地に50発もの模擬原爆を落としています。また「東京大空襲」以外にも、全国の地方都市に焼夷弾を雨の如く降らせ、女性や子供を含む一般市民を無差別に焼き殺しました。さらに、広島・長崎の市街地には核爆弾を投下しました。

先日対談させていただいた上智大学名誉教授の渡部昇一先生は、「アメリカがナチスドイツの残虐性を糾弾するのに使う『ホロコースト(大量虐殺)』という言葉は、『焼く』が語源なので、アメリカの原爆や空襲にこそ使うべきだ」とおっしゃっていました。

日本に根付く「義」の心

このような話題に接すると、逆に、当時の日本軍が非常に人道的だったという事実に触れざるを得ません。

日本軍は原則、民間人には手を出さず、軍人や軍用施設のみを標的にしました。当時の国際社会では真面目すぎるほどです。

真珠湾攻撃も、目標は軍事施設です。長岡は「真珠湾攻撃を指揮した山本五十六の故郷だったため、報復として空襲対象になった」とも言われますが、攻撃の性質はまったく違います。

また、「南京大虐殺」の濡れ衣を着せられ、東京裁判で処刑された松井石根大将も、軍全体に、将来の模範たるべく「不法行為等絶対に無からしむるを要す」と厳しく命じています。

日本には武士道の「義」、つまり「生き方に一本筋を通す」という精神がありました。たとえ戦争中でも、正義に反する行為は慎むべきだと考えたのです。

先日、日本で暮らす中国人女性に、空襲や原爆の話をしました。すると、彼女は「なぜ日本人はアメリカ人を恨まないのか?」と驚いていました。それには、GHQに「日本は悪い国家だった」と洗脳された面もあるでしょう。しかし、多くの国民が「戦いが終われば敵も味方もない」という「武士道精神」で、恨みを飲み込んできたことも事実です。この精神性の高さには、同じ日本人ながら驚かされます。

「常識」を洗い直し日本の汚名を晴らす

中国政府は3月、「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」に関する資料を、ユネスコの記憶遺産に登録申請しました。来夏にはその可否が決まりますが、もし登録されれば、日本は半永久的に「性犯罪・虐殺国家」の烙印を押されます。

私は長岡での講演後、「模擬原爆投下地点」に向かいました。投下地点に立ち、犠牲者の思いやその後の空襲の風景を思い浮かべていると、「日本人は、民間人を虐殺できるような民族ではない」という強い強い思いが、込み上げて止みませんでした。

来年の夏は戦後70年です。それまでに、私たち日本人には、やらなければならないことがあるのではないでしょうか。それは、日本に着せられた汚名を晴らすため、歴史の真実を国内外に主張することです。

この夏は、マスコミの信頼が大きく揺らいだ夏でもありました。朝日新聞は"従軍"慰安婦の根拠として過去に報道した、吉田清治氏の証言が作り話であることを認めました。

戦勝国につくられた「歴史」や戦後の「常識」に対し、「何が正しいのか」という洗い直しが始まっています。

戦争当時、先人たちは、「後に続くものを信ず(注)」と言って、未来の平和を祈りながら散っていきました。現代を生きる私たち一人ひとりが、日本の誇りを取り戻し、その上に平和と繁栄の国を創る――。それこそ、彼らの祈りに応えることになるのではないでしょうか。

(注)特攻隊員の間でよく言い交された言葉。