海上自衛隊が、太平洋戦争で戦死した人々の遺骨収集事業に初めて協力することが、このほど、分かった。遠洋の練習航海に出ている艦船が、激戦地だったガダルカナル島に寄港するタイミングと、政府・民間団体が同地で遺骨収集をする時期が重なったため、今回の運びとなった。

日本は、1940年代の太平洋戦争で、広い地域にまたがって戦った。北はアリューシャン列島、東はハワイ・真珠湾、西はビルマ、南はニューギニア。こうした地域で亡くなった戦没者の遺骨を探し出して、日本に持ち帰って供養するのが、遺骨収集事業である。

先の戦争では、海外で240万人もの人々が亡くなったが、遺体が海中に沈んだり、相手国の事情で収容が困難になっているものを除いた約60万柱の遺骨がいまだに収容されていない。また、国内で激戦地となった硫黄島や沖縄でも収集は行われており、沖縄では3000柱が未収容とされている。

実は、政府は長らく、遺骨収集事業に積極的ではなかった。「国の責任」としながらも、数年前までは事業にかける予算は少なく、2009年度は3億円程度(13年度は約18億円)、民間団体によるボランティアが主力だった。それに比べアメリカは、第2次大戦だけでなく、朝鮮戦争やベトナム戦争など、参戦した戦争で戦死した兵士の遺骨収集に年間55億円もの予算をかけている。

さらに、現地での遺骨収集体制にも問題がある。

事業を担当する厚生労働省は、NPO法人に収容を委託したが、10年にフィリピンで収集した遺骨の中に、戦後亡くなったフィリピン人のものが混ざっているという疑惑が持ち上がり、委託を請け負った団体は、日本人かどうかの科学的な検証を行わずに数だけを揃えていると批判された。現地のフィリピン人に謝礼を渡し、遺骨を集めるという方法をとったため、墓を暴いてフィリピン人の骨を集めたということだった。

歴史認識や靖国神社の問題にも通じるが、現代の日本人は、国のために血を流して戦ってくれた人々への感謝の思いをもっと強く持つべきではないか。建前でなく、行動で示していく必要があるだろう。(悠)

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