銀色の肌をした美青年がギターをつまびき、人々の心をゆさぶる――彼は人間そっくりのロボット。だが、このロボットに恋をする少女が現れた。
英国の作家、タニス・リーの『銀色の恋人』(1981年)は、こんな小説だ。訳者・井辻朱美氏によると、この作品の背景には日本の特撮ドラマ「人造人間キカイダー」(1972年・石ノ森章太郎原作)があるのではないかという。
悪の組織「ダーク」が繰り出す殺人ロボットが暗躍するとき、どこからともなく現れたギターを持つ青年ジローは、正義のロボット「キカイダー」に変身、悪に立ち向かう。彼をロボットと知りながら愛するのが、ミツコという少女だった。5月24日からは、40余年の時を経て、映画「キカイダーREBOOT」(東映)が公開されている。
ロボット開発が進化した未来社会は、いかなる様相を呈するのか。SF小説や映画は、私たちが未来において直面するかもしれない問題を、あらかじめ垣間見させてくれる。
予見される問題の第一に、「ロボットの破壊力」の問題がある。ロボットは、作り方によっては、破壊力や殺傷力などを人間以上にすることも可能だ。地獄から抜け出たような凶悪なロボットさえ、作れなくはない。ロボットをどう制御し、社会に役立てるかが問題だ。
第二の問題は、笑い話のように思えるかもしれないが、「ロボットとの恋愛」問題である。もし、永遠に若いままで、人間同様の動きに加え、感情まで覚えた美女あるいは美男のロボットが登場した場合、恋愛や結婚に関する考え方に変化が起きる可能性はあろう。
そして、究極的には、「人間とは何か」という問題だ。小説『人造人間キカイダー』(2013年・松岡圭祐)では、ロボットのジローが、「人は物ではない」「死んですべてが終わりではない、それがきみら人間だよ」と、不滅の霊魂を持つ人間の尊厳について語る場面がある。未来の人々は何をもって、人間とロボットとの線引きをするのだろうか。(賀)
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