中国・ハルビン駅にある安重根の記念館に、1月の開設から100日間で約6万人が来館した。中国政府が開催した、中国駐在の外国メディアの取材ツアーで伝えられたという。

同記念館開設のきっかけは、朴槿惠・韓国大統領から習近平・中国国家主席への、「安重根の石碑をハルビン駅に建ててほしい」という要請だった。習氏はこれに対し、2006年に一度撤去された、安重根の銅像を再度設置し、記念館に格上げさせる形でハルビン駅に開設した。中国や韓国では安重根を、日本の植民地支配への抵抗を象徴する「英雄」としている。

しかし、安重根は、日本の初代総理大臣で、初代韓国総監でもある伊藤博文を暗殺して処刑された、テロリストに過ぎない。さらに、日韓併合に消極的だった伊藤博文の暗殺は、韓国の後進性を国際社会に広く伝え、「日韓併合やむなし」との機運を国内外で高めることになった。

習氏は、要人を暗殺したテロリストを祭り上げる一方、中国が侵略によって「東トルキスタン」という国を奪い、「新疆ウイグル自治区」とした地域にある、カシュガルを4月末に訪れた。警察の反テロ訓練を視察し、テロリストを倭寇になぞらえてテロ対策に力を入れるよう指示した。

中韓が安重根を通じて広めている「祖国を奪おうとする他国のトップを暗殺し、英雄となった」というストーリーは、ウイグル自治区やチベット自治区の人々に、「祖国を侵略した中国のトップを暗殺すれば英雄になれる」と言っているようなものだ。その中国のトップとは、習氏本人に他ならない。

習氏は、反日で共闘しようという朴大統領へのプレゼントのつもりで記念館を作ったのかもしれないが、同記念館の存在は、要人テロを肯定・推奨するもので、習氏自身の足元に火をつけかねない。習氏の戦略ミスと言わざるを得ないだろう。(居)

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