文部科学省は、竹富町教育委員会に対し、地区内で選定された教科書を使用していないことについての是正要求を行う。

この問題は、竹富町を含む八重山採択地区協議会が、24年度から中学公民の教科書に育鵬社版を使うことを、各教育委員会に答申したが、竹富町の教育委員会だけは東京書籍版を採択したことに発端がある。これは、地区内で同一の教科書採択を義務付けた教科書無償措置法に違反している。

これを受け、下村博文文科相は、竹富町教育委員会の上部組織である沖縄県教育委員会に対し、竹富町教育委員会に是正を要求するよう指示したが、是正は行われなかった。沖縄教委は政府からの是正要求に対して、5回も判断を先送りしていた。

そこで今回、下村文科相が竹富町教委に対して直接是正要求を行うことになった。この度の是正要求により、竹富町教委は対応を見直す法的義務が生じることになる。

文科省が是正要求を決定したことについて、15日付朝日新聞は、「教科書選び 国強硬」との見出しをつけて報道。日本政府があたかも力ずくで教科書選びに関与するかのような印象を与えた。また「違法なのは、竹富町だけではなく、協議を尽くさなかった、同地区の石垣市、与那国町も同じだ」とした東大法学部金井教授のコメントも掲載した。地域で同じ教科書を使うための協議が難航し、多数決により育鵬社版の教科書に決定されたという経緯は全く無視されている。

また、東京新聞は15日付の社説で、「問題解決は力ずくで、と子どもに教えるようなものだ」と述べ、育鵬社版の採択は「教育行政の政治的中立性を脅かす非常事態」としている。しかし、八重山採択地区協議会の出した選定結果に対し、新聞社独自の評価をもって圧力をかけること自体、民主主義を否定する「非常事態」である。

かわいそうなのは現場で教育を受けている子供たちだ。自分の考えを押し付けたい一部の教育関係者によって、基本的なルールが無視され、都合のいいように法律が解釈されている。上記の朝日新聞や東京新聞の主張こそ、「力ずく」で民主主義による決定を覆そうとするものだ。

この異常事態に子供たちが何も感じないはずがない。子供たちへの教育のためにも、竹富町教育委員会は、組織として指示や命令に従う義務を果たすべきだ。(HS政経塾 横井基至)

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2013年10月1日付本欄 法律無視は教育によくない 教科書採択に従わない沖縄県竹富町に文科省が是正要求へ

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2013年9月25日付本欄 【そもそも解説】教育委員会って何?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6696