任期満了に伴う沖縄県石垣市長選挙は、現職の中山義隆氏(46)が再選を果たした。自民党・公明党が推薦した候補でもあり、石垣島への陸上自衛隊配備に理解を示している中山氏の再選を受け、政府や防衛省関係者は胸をなでおろしているだろう。当選後の記者会見で中山氏は、「石垣に(陸自)配備の話があれば話し合いの場には着きたい。(尖閣諸島は)国にしっかりと守ってほしい」と語るなど、防衛力強化に意欲を見せた。対立候補だった元職の大浜長照氏(66)は、「反基地」を掲げて選挙戦を戦ったが、十分な民意は得られなかった。

石垣市は、対中国の国防の最前線である尖閣諸島を含んでいる。中国船による領海侵犯を目の当たりにしているこの地域の有権者が、尖閣国有化以降、初めての市長選で保守系の市長を選んだことは、普天間基地移設の必要性を浸透させる上でも意義がある。

今年1月に行われた名護市長選においては、自民党が応援した普天間基地移設賛成派の候補が落選したこともあり、政府としては何としても連敗を阻止したかった面もある。今回の選挙戦では、石破茂幹事長や小泉進次郎内閣府大臣政務官が応援のために現地入りするなど、党を挙げて梃入れしてきた。それも、11月に控える沖縄県知事選を見据えて、普天間基地移設容認の世論を広める狙いがあったと見られる。

11月の知事選において、政府としては普天間基地移設反対派の知事が誕生することは何としても避けたいところ。名護市長選では、公明党が自主投票にしたことで、移設反対派の稲嶺進氏に票が流れた経緯がある。今回の石垣市長選では中山氏を推薦したが、公明党沖縄県本部は「県外移設」を主張しており、県知事選で再び与党内の足並みが揃わなくなる可能性も高いと見られる。公明党とは他にも、集団的自衛権の行使容認や憲法9条改正などの重要テーマで対立が続いている。

ただ、普天間基地移設はすでに日米の両政府間で合意した事項であり、仲井真知事も昨年末に移設工事を承認したことで決着している。

安倍政権は、知事選の結果に関わらず、断固として基地移設を進めていくべきだろう。そして、基地移設の重要性を浸透させるためにも、昨年から先延ばしになっている集団的自衛権行使容認の関連法案を今夏に提出し、与党内のねじれを解消すべきだ。(雅)

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