政府は、老朽マンションの売却と解体をしやすくするマンション建て替え円滑化法の改正案を閣議決定した。1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンションのうち耐震性が不足されていると認定された建物が対象になる。

マンション所有者全員の合意ではなく、8割以上の合意で売却できるように基準を緩和するほか、新しいマンションに建て替える場合は容積率も緩和する。容積率とは、土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかを示すもので、この規制緩和により、新しいマンションの部屋数を増やすことができる。これまでは、建設時に容積率いっぱいに建てている場合は、建て替える際、以前の建物より小さくしなければならなかったため、耐震性が不足しているマンションの建て替えが進まず、老朽化していた。

規制を緩和することによって建て替えを進めようとする今回の改正案は、耐震強化につながるという意味で評価できる。

しかし、建て替え後に食料の備蓄や非常用発電のための倉庫を設置したり、災害時に一時避難所として使用したりすることなどが条件とされており、これには多大な費用とメンテナンス代がかかるなどの問題もある。また、容積率において新築物件と建て替え物件との間に不公平が生じることも考えられる。国土交通省は、改正法案を3月中に通常国会に提出するが、今後、実効性のあるものになるよう期待したい。

また、防災の観点から言えば、防災機能を付加するだけでは十分ではない。災害時、実際に救助する警察・消防・自衛隊の意見を取り入れるなどして、省庁の壁を超えた危機管理体制を整えるための法整備も必要だ。

防災に強い建物については、幸福実現党が、地震や津波に強い共同住宅や多機能高層ビルの推進や中高層ビルへのヘリポートの設置など、住みやすさと防災を両立させた未来都市ビジョンを示し、国や自治体が主導することを提言している。

一方で、日本の都市の建物を見渡せば、世界の都市に比べて低いものが多い。都市によっては、空間利用の観点から、建築の規制は緩和していくべきだろう。大川隆法・幸福の科学グループ総裁は、著書『創造の法』の中で、「『高層ビルを一定の間隔で建て、真ん中あたりの高さの所をモノレールでつないでいく』ということを考えています。そうすれば、東京に『交通革命』を起こせると思います」と東京の未来の姿を語っている。

老朽マンションの耐震対策にとどまらず、もっと自由な発想で、防災にも強い未来の都市を作っていくべきではないだろうか。(HS政経塾 横井基至)

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