9日、都知事選の投開票が行われ、舛添要一氏が当選した。

2020年の東京オリンピックの大成功を訴え、厚生労働相も務めた経験から福祉にも強いイメージを持つ舛添氏が、終始、有利に選挙戦を進めた。

だが、舛添氏有利の報道がされていたとはいえ、投票率は46.15%と、前回の62.6%を大幅に下回った。

これだけ関心が低かったのは、元首相二人がタッグを組んで盛り上げようとした「脱原発」の訴えが不発に終わったことも影響していると見られる。これは、そもそも都知事が国策であるエネルギー政策をひっくり返す権限がないということに加え、投開票日前日に首都圏を襲った大雪とも無関係とはいえないだろう。

8日の都心では暴風と共に、夜まで雪が降り続いて27センチの積雪を記録。これは45年ぶりの大雪とも伝えられている。本欄でも指摘したが、都知事選前日のタイミングで記録的な大雪が降ったということは、電気のありがたさを知り、脱原発がいかに誤っているかを教える「天意」といえる。

東京電力のホームページによれば、8日の電力使用率は95%とのことで、厳しい状況だったことがわかる。通常、電力は常に10%程度の余裕がなければ安定的に供給できないという。97%なら相当逼迫した状況にあることを示し、発電所のトラブルでもあれば大規模停電が起こりかねない。もし、大雪の日が平日だったなら、オフィスや工場などの商業用電力の需要も普段より増えていたはずで、さらに使用率は切迫していたことだろう。

さらに、悪天候にも強い鉄道として首都圏の利用者に信頼を得ていた京急電鉄が、「電力供給が不安定の為、運転を見合わせる」とのアナウンスおよび案内掲示があったとして、ネットで話題になっている。

だが、「電力供給が不安定だったから、運転を見合わせた」という因果関係については、大手マスコミでは報じられていないようだ。さらに、京急電鉄のホームページにも、「積雪ならびに強風の影響により、ダイヤ乱れや運転見合わせが発生し、ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします」との発表がなされ、電力供給が不安定だったことについては触れられていない。

現在の電力供給は、主に火力発電に頼っている。全国に約300ある火力発電所のうち、運転開始から40年を超えた設備は2割にのぼる。火力発電所も老朽化すればトラブルや事故が増える。民主党政権下で40年を超えた原発は廃炉にすることが決定したはずだが、火力発電所なら老朽化しても使い続けるというのはおかしいだろう。

原発を否定することは、寒い冬に凍えず、暑い夏にも快適に過ごせ、文明を発展させるために、さまざまな技術を開発してきた先人の努力を否定することと同じである。

ぜひとも舛添新知事には、東京を繁栄させるためのあらゆる努力を惜しまず、世界一の都市へと導いてほしい。(佳)

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