安倍政権はこのたび、アメリカ軍による日本への核兵器の持ち込みに関する「核密約」について、政府見解をまとめる方針だ。

密約とは、核を積んだ米艦船の寄港や領海通過を、日米の事前協議の対象外にするという内容で、民主党政権下で外相だった岡田克也前副総理が調査し、2010年に外務省の有識者委員会が「広義の密約があった」と結論付けていた。

具体的には、1960年の日米安保条約改定時に、アメリカ政府は核兵器の所在や配備について否定も肯定もしない立場を取っていた一方、日本政府も核兵器を積んだアメリカの艦船の寄港を事前協議の対象とするよう求めなかった。その結果、核兵器を搭載したアメリカ軍の艦船や航空機が事前協議なしに日本に立ち寄っても、日本側は抗議しないという暗黙の合意が形成されたことを指している。

1月31日の衆院予算委員会で民主党の岡田氏は、非核三原則を掲げる日本の港に核兵器を搭載した艦船が入ってきていた可能性が高いにも関わらず、それを歴代首相や外相が否定し続けたことを指摘。それに対して、安倍晋三首相は「ずっと国民に示さずにきたことは間違いだった」と答えた。

このなかで安倍首相が、「日本を守るために必要だったという中で、なかなか国内で理解しうるのかという判断だったんだろう」と述べているように、これまで、この問題について国内で議論できる環境ではなかった。今回、自民党の首相として初めて密約を開示しなかったことの非を認め、当時と今とでは世論の受け止め方も変化していることを暗に示したことは、今後核抑止力について議論する環境を作る上で評価できる。

新聞各紙の報道では、秘密にしていたことを責めるような論調が多いが、議論すべきポイントは、日米安保による抑止力を今後もいかに保っていくかということだ。密約が交わされたとされる1960年当時、アメリカの核兵器はおもにソ連との冷戦のためにあったが、今、日本の近くには中国や北朝鮮といった核保有国の脅威が存在している。こうした中、有事の際に日本とアメリカはどう連携し、どう核抑止力を効かせていくかをシミュレーションすべき時がきている。アメリカの「核の傘」の下にいる日本にとって、アメリカ軍の核兵器は、自国を守るためのものであることを忘れてはならない。(紘)

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