17日に閣議決定された「国家安全保障戦略」を受けて、日本の防衛産業が注目を集めていると、22日付読売新聞が報じている。

開発費の高騰が続く防衛産業では、近年、主力兵器の開発に各国が資金と技術を互いに提供するスタイルが増えているが、日本はこれに乗り遅れている。それもあってか、防衛産業から撤退または廃業した中小企業は、2003年以降で102社、航空分野では21社に上るという。

しかし、今回の決定では、武器とその製造技術、また他国との共同開発を禁止してきた「武器輸出3原則」を見直す方針が示されている。実現すれば、空洞化する防衛産業が海外市場を視野に入れると同時に、国際連携も進めるチャンスだと伝えている。

「武器輸出3原則」については、これまでも見直しや例外規定が盛り込まれるなどしてきたが、他国との共同開発が認められれば、日本の防衛産業はさらに国際社会と足並みを揃えることができる。

実際、中国・北朝鮮の軍事的挑発が繰り返され、日本の一国平和主義が持たなくなっていることは国民も実感しつつあるだろう。

しかも、シリアの内戦やイランの核開発などに対して、宥和策を取り続けている今のアメリカを見れば、日米同盟で尖閣諸島がどこまで守られるか分からない。

日本では集団的自衛権の行使を認めるか否かについても議論されているが、アメリカが考える集団的自衛権とは、尖閣諸島に人民解放軍が上陸した際、アメリカがミサイルや軍艦を提供し、日本が地上戦闘を分担することだと指摘する識者もいる。アメリカの現状を見れば、そうした事態も政治家は想定しておく必要がある。

そうなったとき、重要になってくるのが通常兵器の性能だ。中国や北朝鮮の核兵器は日米同盟によって抑止されたとしても、通常兵器での衝突で日本が負けるようなことがあれば、国防はいよいよ危機的な状況を迎えることになる。

現状では、中国はまだ自力で潜水艦を開発できないなど、通常兵器の性能・開発において日本の自衛隊に大きく後れを取っている。

だが、中国の急速な軍事拡張のペースや、朝鮮半島や台湾で有事があった際のことを想定すれば、日本は通常兵器の開発を怠るべきではない。

その意味で、武器の共同開発が認められることは国防上、望ましいことであるし、さらに集団的自衛権の行使容認と憲法9条改正へと道筋をつけていくことが今求められている。(雅)

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