これまで、「言われても言われっぱなし」という印象が強かった日本だが、中国の反日プロパガンダに対して日本の大使がディベートする例が増えている。
10日付の米ワシントン・ポスト紙で崔天凱・駐米中国大使が、昨年末の安倍晋三首相の靖国参拝について「中国や、多くのアジアの人々を大変不安にさせている」と批判。また、靖国神社には「真珠湾攻撃を命じた東條英機や、30万人もの人が殺された南京大虐殺の司令官」が祀られているとし、「日本の軍国化が中国や、尖閣問題に巻き込まれているアメリカも含む他の多くの国に多大な被害を与えている」と嘘に基づく主張を展開した。
中国側の発信からは、「真珠湾攻撃」と、「南京大虐殺」を並べて論じるなど、戦勝国であるアメリカの世論を引きこもうとする意図が透けて見える。
これに対し、佐々江賢一郎・駐米日本大使も17日付の同紙で反論。「アジア太平洋地域の平和や安全を脅かしているのは、日本の首相の靖国参拝ではなく中国の急激な軍拡や近隣国への軍事力や経済的な強制力の行使」であって「中国と異なり、日本は戦後、戦闘で一発も弾を撃っていない」と指摘。「中国が教条的な反日プロパガンダをやめ、未来志向の関係を構築するために共に努力することを期待している」とした。
年初には、英国でも劉暁明・駐英中国大使が、今回と同様に安倍首相の靖国参拝を批判する記事を英紙・デイリー・テレグラフに投稿したが、林景一・駐英日本大使が同紙に反論の記事を載せた。これまで日本は、「相手にしない」ことで反論をかわそうとすることも多かったが、国際社会で沈黙していると、相手の主張をそのまま認めたと受け取られかねない。各国の日本大使が、中国の理不尽な言論に対し、"打ち返し"を始めたことは大いに歓迎できる。
政府は今後、相手の主張を打ち返すだけでなく、積極的に日本の国益を守る意見を発信する機会を増やし、相手国はもちろん、世界各国に日本の立場を伝える努力をする必要がある。
その際、政府発信のみならず、国内マスコミの報道姿勢も鍵になる。安倍首相の靖国参拝については、日本の主要新聞の多くが、中韓の主張を代弁するかのような批判を繰り広げた。国益を損ない、内政干渉を招く自虐的な報道姿勢は改めるべきだろう。
だが、国防上の危機を前に、日本の世論は確かに変わりつつある。歴史認識にかかわる問題は、政府の責任において早期に解決させるべきである。(晴)
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2013年10月24日付本欄 外務省が竹島・尖閣の自国PR動画を公開 靖国参拝自粛の安倍首相はちぐはぐな姿勢を正すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6839
2014年1月9日付本欄 中国高官が「霊」の話題を持ち出して靖国参拝を批判 実は霊の存在を信じてる?