昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝に対して、中国の高官が、人気小説「ハリー・ポッター」シリーズに出てくる「霊」の話題を持ちだして批判している。

劉暁明・駐英中国大使が元旦、英紙デイリー・テレグラフ紙への寄稿で、「ハリー・ポッター」シリーズの悪役である「ヴォルデモート卿」を例に挙げて、安倍首相を批判。「軍国主義が日本につきまとうヴォルデモート卿だとすれば、靖国神社は日本の魂の最も暗い部分を隠した『分霊箱』だ」とした。「分霊箱」とは作品の中で、魂の断片をこの世につなぎ止めておくものとして描かれている。

これに対して、林景一・駐英日本大使は4日、同紙に反論を寄稿。「東アジアは岐路にあり、中国の前には2つの道がある」として、「1つは対話し、法の支配を守ること。もう1つは、軍拡競争と緊張激化により、地域におけるヴォルデモート卿の役回りを演じることだ」「既に存在しない軍国主義の亡霊を持ち出し続けることをやめ、両国関係を前進させるよう求める」とした。

中国からの批判を、同じ例えを使って切り返した林大使の反論は、なかなかのもの。しかし興味深いのは、神も仏も存在しないことを前提にする無神論・唯物論の国の高官が、わざわざ「霊」について触れたことである。

大川隆法・幸福の科学総裁が2011年3月に行った霊言『老子の復活・荘子の本心』で、招かれた荘子の霊は次のように語っていた。「民衆の宗教心自体は、やはり、実際には弾圧できないものなんです。政府や軍は、それが政治的な力に転化するのを恐れているだけであって、偉い政府関係者や軍関係者であっても、宗教を信じている人は大勢います」「中国は、マルクス主義を、本当は、もうほとんど捨てているのだと思うんですけれども、今、代用品が見つからないので、これを使っているのだと思います」

実際に、北京の天安門広場にも、靖国神社に相当するような、革命で命を落とした人々を祀る「人民英雄紀念碑」が設置されている。昨年10月には、習近平・国家主席や李克強・首相ら指導部の人々が訪れ、献花している。なお、この紀念碑は無宗教施設という建前だが、「人民英雄永垂不朽(人民英雄は永遠に不滅である)」という毛沢東の揮毫が刻まれている。

こうして見ると、前出の荘子の霊言が、いかに的を射たものであるかが分かる。そもそも、中国の人々が本当に霊の存在を否定するのであれば、たとえ日本人が靖国神社に参拝しても、何の怒りも沸いて来ないはずだろう。今回、中国高官の靖国参拝に対する批判が、奇しくも、中国人の「宗教心」を垣間見せたと言えるかもしれない。

唯物論・無神論は日本にも広まっているが、この靖国問題をきっかけに、日中両国の人々が、本来持っていたはずの「宗教心」を取り戻すことを望みたい。(晴)

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