15日に起きた海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」と民間の釣り船との衝突事故をめぐって、海自の非を演出するような偏向が各種報道で見受けられる。この事件は15日の朝8時頃、海上自衛艦の大型輸送艦「おおすみ」が、広島県の阿多田島沖で民間の釣り船と衝突したもの。釣り船は転覆し、海に投げ出された4人は救助されたが、そのうち2人は死亡した。

18日付朝日新聞の社説は、「自衛艦事故―なぜ繰り返されるのか」と題し、いかにも海自が悪いかのような見出しを掲げている。その中で、2008年に起きたイージス艦「あたご」の衝突事故を挙げ、「特に海自の再発防止策が機能していたかは、しっかりと検証されなければならない」「見張りの態勢はどうなっていたのか。釣り船をいつ発見し、どういう措置をとったか」などと、主に海自への責任追及に紙面を割いている。「海と向き合うための基本を、皆で再確認したい」とし、ライフジャケット着用など民間にも対策を促した産経新聞の社説と比べると違いがはっきりする。

テレビ朝日の「モーニングバード」では、GPSに記録された「おおすみ」の航路を紹介せず、生存者の証言だけを使って、「おおすみ」がいかにも急旋回して衝突したかのような歪曲報道をしたと、ネット上で議論されている。また、2人の生存者の証言を考慮することは重要だが、内容に食い違いが見られることも報道すべきだろう。

「あたご」の衝突事故でも、偏向報道が一部メディアで見られたが、その姿勢は変わっていないようだ。

そもそも民間船と軍艦は同列に扱うべきではない。商船などの民間船が軍艦と遭遇した時には、国旗を掲げて軍艦への敬意を示すのが国際常識となっている。民間船よりも軍艦の方が優先されるのは当たり前のことなのだ。

事故を多角的に検証する必要があるのはもちろんのことだが、自衛隊が悪いかのように一方的に扱う報道は非常識なものと言わざるを得ない。そうした偏見にさらされながらも、自衛隊は日本を守るために日夜、活動しているということも知らなければならない。(慧)

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