6日深夜、秘密保護法が成立したことを受け、7日の朝刊各紙がそれぞれ社説を掲載している。

以下、その一部を紹介し、秘密保護法に対するスタンスを比べてみたい。

<読売>国家安保戦略の深化につなげよ

日本にもようやく他の先進国並みの機密保全体制が整った。日本の安全保障環境は激しさを増している。米国はじめ各国から重要な情報を入手し、連携を強めるには秘密保護への信頼を高めることが不可欠だ。

<産経>適正運用で国の安全保て

なぜ今の日本に秘密保護法が必要なのか。日本をとりまく安全保障環境を考えてほしい。平和を重視する日本だからこそ、守るべき秘密がある。

以上の2紙は、安全保障の観点から秘密保護法に賛成のスタンスを取っている。対して、秘密保護法に反対の立場を取る新聞は、「知る権利」や「報道の自由」の侵害の危険性をことさらあおり、「国家防衛」の視点が極めて希薄である。

<日経>知る権利揺るがす秘密保護法成立を憂う

この法律は国民の「知る権利」を揺るがす深刻な問題を抱えたままだ。不都合な情報が隠され、秘密が際限なく広がりかねない。国が持つ情報は本来、国民のものである。

<毎日>民主主義を後退させぬ

民主主義を否定し、言論統制や人権侵害につながる法律を容認するわけにはいかない。公安警察の監視活動が大手を振ってまかり通り、歯止めが利かなくなる恐れもある。

<東京>民主主義を取り戻せ

この法律は選挙で公約として掲げて支持を得たわけではない。特定秘密保護法の成立を強行することは、民主主義を愚弄するものだとなぜ気付かないのか。

<朝日>憲法を骨抜きにする愚挙

安倍首相は「国民を守る」ための秘密保護法だと述べたが、情報を囲い込み、歯止めを外した権力は、容易に道を誤る。戦前の日本やドイツは情報を統制し、異論を封じ込めた。ナチスの全権委任法や日本の国家総動員法など、議会などの手続き抜きで、なんでも決められる仕組みを作った。

毎日と東京の二紙は、秘密保護法が「民主主義」を侵害するかのような書き方をしている。特に朝日は巧妙だ。「国防」に理解を示すふりをしつつ、戦時体制になって自由が奪われるかのような書き方をして恐怖をあおっている。しかし、この法律で保護の対象になるのは、軍事機密や暗号関連であり、普通に生活を送る上ではまったく関係のない情報だ。日本に侵略の意図を持っている国に兵器の情報や暗号が渡ることの方が、よほど自由と民主主義を侵害することになるのではないだろうか。

保護の対象となる「秘密」の定義を際限なく拡大しようとしているのは、むしろマスコミだ。この法律によって政権や政策への批判が許されなくなるわけでもないし、秘密の範囲が拡大されるわけでもない。「原発事故の情報が隠される」などという批判もあるが、国民に必要なのは、事故によってどれだけ人体に影響があるかという情報であり、警備計画を知る必要はない。放射線については、SPEEDI(緊急時の放射線影響予測システム)があることは分かっているわけだから、万が一、結果が公表されなければ、マスコミは「公表されない」という事実を書けばよい。国民に必要な情報を隠し通す政権には、おそらく世論の批判が高まることだろう。

だが、今回の法案を通すにあたって、国民への説得や説明が十分でなかったことは確かである。その意味では反対派の危惧も分からなくはない。安倍首相には、自らの政治哲学に基づいて、集団的自衛権行使容認、日米同盟強化の必要性を正々堂々と語ってほしいものだ。(佳)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『「特定秘密保護法」をどう考えるべきか』 大川隆法著

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2013年12月4日付本欄 特定秘密保護法案へのアンチ・キャンペーンを、刑法学者が斬る

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2013年12月7日付本欄 特定秘密保護法が成立 知る権利を主張するマスコミは国民の知る権利に奉仕しているか?

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