29日付東京新聞は、衆院を通過した特定秘密保護法案に反対する学者らが分野を越えて決起し、「特定秘密保護法案に反対する学者の会」を結成したと報じている。
同紙で報じられた、おもな学者のコメントと同会の声明内容は以下(抜粋)。
■益川敏英・名古屋大学特別教授(ノーベル物理学賞)
「政治をやる上で、秘密にし続けなければならないことはありません。後から必ず公開されるのが原則です」
「安倍晋三首相の施策からは『日本を戦争できる国にする』という意図が透けて見えます」
■佐藤学・学習院大学教授(教育学)
「戦後の憲法の問題、基本的人権と平和主義の問題として、これ以上の危機はなかった」
■声明文
「市民の目と耳をふさぎ、『秘密国家』『軍事国家』への道を開く法案」
「思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせる」
学者やマスコミが「言論の自由」、「学問の自由」を守ろうとするのは当然といえば当然かもしれないが、記事内容を見る限り、本法案が生み出す国益について十分な理解をしているとは言い難い。
本法案は、「防空識別圏」を一方的に設定するなど、侵略行為がエスカレートする中国の脅威に対する防衛のためのものだ。そもそも日本は中国のような拡張主義など取っておらず、集団的自衛権の行使すら認められていない。この現状を踏まえれば、「軍事国家、戦争できる国を目指している」という指摘は飛躍が過ぎており、戦中・戦後で時代認識が止まっていると言わざるを得ない。
また、今の日本は海外から「スパイ天国」と嘲笑を受けているように、他国に比べて国防などに関する機密情報の管理などがずさんなのは明らかだ。本法案を廃案に追い込めば、日本人の「知る権利」を守るつもりが、中国スパイの「知る権利」を後押しすることになりかねない。アメリカ軍との連携が今後不可欠になる情勢にあって、相手国のスパイに情報が筒抜けとあっては軍事情報の共有などできるはずがない。
原点に戻れば、国民の生命・安全・財産を守ることが最低限の国の役割だ。個人の「知る権利」や平和主義を守った結果、国が侵略されてなくなるならば本末転倒である。戦後、類を見ない国防の危機に立たされている今、日本は特定秘密保護法案を早期に採決するべきだ。
反対派の学者やマスコミは、それほど平和主義や「報道の自由」に価値があると信じるならば、中国に対しても平和主義と「報道の自由」を持てと主張してみてはどうか。(雅)
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