出生前診断や人工授精など、先端医療はさまざまな不可能を可能にし、人類に多くの恩恵をもたらしている。その一方、「生まれてくる権利」や「知る権利」という新たな問題に対して、医学も法律も十分に応えられない状況が続いている。

今月報じられた二つの記事を紹介する。

一つ目は、新たな出生前診断で「ターナー症候群」を発見できるようになったというもの。ターナー症候群は、女性の2000~3000人に一人の頻度で起きる性染色体異常の一種で、低身長や不妊が見られるが、外見上は区別がつかないことが多く、知的障害も生じない場合が多い。

しかし、出生前診断で発見できるようになれば、人工中絶を望む夫婦も出てくると予想されるため、この問題は「胎児の生きる権利に反しないのか」という疑問を投げかけている。

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