静岡県の川勝平太知事は20日、先月末に文科省が発表した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果について、同県の小学校6年生の「国語A」の成績が全国最下位だったことを受けて、自身の責任で上位86校の校長名を公表した。
もともと川勝知事は9月9日の記者会見で、同テストの下位100校の校長名を公表する意向を示していた。しかし、同テストの実施要綱では学校ごとの成績公表が禁止されているため、文科省は「校長名がわかれば学校名も分かる」と指摘。県教委も公表取りやめを知事に求めていた。それを受けて今回は上位校のみ、50音順での発表となった。
川勝知事は公表に踏み切った理由として、「学校教育の責任は現場の先生にあることを明確にするため」(県ホームページ)と説明。また、県教委が同氏への学力テストの結果データの提供を3週間も遅らせていたことも公表し、県教委の隠蔽体質を批判した。
「学校名の公表がダメなら、校長名の公表で」という川勝知事の手法が妥当かどうかはともかく、学力テストの結果を公表すること自体は、学力の底上げにつながるものだ。
たとえば東京都品川区では、区教委が独自に作成したテストの結果を各小中学校がホームページで公開。学力が区の水準に達しない、といった数値データも公開した上で、傾向と対策を立てている。品川区では小中一貫教育や学校選択制が進んでおり、区全体で学力が底上げされるなどして、全国の教育改革のモデルとなっている。
全国学力テストの学校別の結果公表については、「学校ごとの格差が開き、平等な教育を提供するという公立学校の理念に反する」となどと反発する向きもある。しかし現実には、テスト結果が公表されることで学校間の切磋琢磨が働き、教育が改善され、全体の学力が向上していくことが期待できる。
全国学力テストは今後も全員調査を行うべきであるし、学校ごとに結果を公表することで教育の改善を進めるべきである。教育改革について考える際には、子供たちの学力を高めることが、子供たち自身の未来の可能性を広げるという視点を忘れてはならないだろう。(晴)
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