2009年7月号記事

オピニオン

活発化する法改正の動き

「今国会で方向・筋道をきちんとつけて、日本人が海外からの臓器移植に過大に頼ることを避ける措置を取っておく必要がある」

自民党の細田博之幹事長は5月8日の記者会見で、臓器移植法改正案の成立を今国会で目指すべきだとの考えを示した。

現行法は1997年10月に施行されたが、今年3月時点までに行われた脳死臓器移植は81例。一方の待機者は約1万2400人というのが現状だ。そこで「生前の意思表示能力がない」として14歳以下は臓器提供者になれないことが問題視され始めた。実際に小児患者は国内でドナーを探し出すのが難しく、渡航移植に頼らざるを得ない。

国際移植学会は昨年5月、各国に自国内でのドナー確保を求める「イスタンブール宣言」を発表。WHO(世界保健機関)はこれを受け、違法な臓器売買の抑制を目的に、渡航移植を規制する方向に動いている。

すでに他国からの移植希望者の受け入れを中止し始めている国もあり、日本も国内でのドナー確保のため、14歳以下でも臓器提供者になれるよう法改正の動きが出てきたというわけだ。