2012年度の国の税収が、1月の補正予算時の予想を1兆3200億円上回ることが2日、分かった(3日付日経新聞)。アベノミクスによって企業業績が改善したことにより、法人税の税収が想定を上回ったことによる。「財政赤字を解消するため、消費税を増税する必要がある」との主張を覆す事実である。

安倍晋三首相は3日、日本記者クラブでの党首討論で、「名目GDPの伸びが鈍っていけば税収は伸びていかない」「消費税を上げることで税収が減っては元も子もない」と発言した。安倍首相は、景気の状況に応じて適切に判断したいとしている。これは幸福実現党が2009年の立党当初から訴え続けてきたことであり、消費税を上げれば税収が下がるというのは、過去のデータを振り返ってもそのとおりである。

財務省発表の資料によると、過去、消費税を上げた後、赤字企業が増加している(図参照)。1989年の消費税導入前には赤字企業の割合は50%前後だったが、導入以降に増加。1997年の消費税率5%への引き上げ後、98年には自殺者が3万人を突破し、赤字企業の割合も99年には70%に達した。その後、2006年の金融引き締めの影響などで、2011年の赤字企業は72.3%までになった。

激しい企業競争の中、消費税増税を価格転嫁しにくい中小企業は利益分を削るほかなく、赤字決算となりがちだ。法人税は法人の所得に対して課せられるため、赤字企業は法人税を納めない。さらに、諸外国と比較しても日本の法人税は比較的高いため、法人税を納めたくないので赤字決算にするようわざわざ努力している企業もある。

麻生太郎財務相は6月14日の記者会見で、「法人税を払っていない会社は7割を超えている。税率を下げても全然効果がない」と発言。政府は法人税の実効税率の引き下げには慎重だが、消費税増税を阻止すれば、法人税を払わない赤字の中小企業をこれ以上増やさずに済むだろう。また、法人税率を国際的に適正な20%前後まで引き下げ、企業が「安心して」儲けを出すようになれば、法人税の税収は増やせるだろう。

税収増による財政再建を目指すなら、消費税増税よりも、消費税率の引き上げの撤回と法人税率引き下げを行う方が現実的だ。次期参院選は、消費税増税を阻止するための最後のチャンスだ。長期的な経済成長と消費税増税阻止の双方を訴えている幸福実現党の躍進が期待される。(晴)

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