アメリカ国防科学評議委員会(DSB)が国防総省に対して作成した機密の報告書に基づいて、米ワシントン・ポスト電子版は27日、中国のハッカーがアメリカの主要な最新兵器20件以上について設計情報を盗んだと報じた。
記事によると、アメリカの主要な最新兵器のうち、ミサイルを空中で迎撃するパトリオット・ミサイルPAC3やイージス艦などの迎撃システム、F35戦闘機などの情報が盗まれたという。
専門家たちは、こうした中国のハッキングで次の3つの問題が起きていると指摘する。
(1)中国がアメリカと対立した際、アメリカの技術にすぐに対応できてしまう。中国があまりにも早くステルス戦闘機の開発に成功したのは、設計情報を手に入れたからではないかという指摘もある。(2)中国が兵器の開発費用を数十億ドルも節約できた。(3)中国の軍事産業がアメリカの技術で儲けられるようになった。
アメリカ側はこの事件を重視しており、来月6、7日のオバマ米大統領と習近平・中国国家主席の米中首脳会談で、最優先議題として提示すると見られている。
しかし、これは日本にとっても対岸の火事ではない。なぜならば、日本はミサイル防衛システムの要としてPAC3やイージス艦をアメリカから購入しており、F35戦闘機についても今後、購入する予定があるからだ。
日本が、中国や北朝鮮からミサイルで攻撃された場合、PAC3などで撃ち落とす以外に手段を持たないが、敵国にその防衛システムに関する情報が筒抜けで、いざ、システムを起動させようとした時に、ハッキングされて予定通り動かない事態も起こり得るだろう。
結局、今回の事案が教えていることは、アメリカとの同盟を堅持しつつも、日本は独自の防衛体制を整える必要があるということだろう。もちろん、機密情報が盗まれないようにサイバー防衛を強化するのは最低限必要なことだ。(居)
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