「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」が福島第一原発の事故について健康調査した報告の原案が、27日に明らかにされた。28日付の各紙の報道によると、原案は「今回の事故による放射線で健康に悪影響は確認できず、今後も起こることは予測されない」と結論づけたという。

国連科学委員会には各国の放射線医学の専門家ら約90人が参加しているが、その報告原案では、事故後1年間で福島県民が甲状腺に被曝した線量は最大でも82ミリシーベルトだったという。100ミリシーベルト以下の被曝による発がん率の上昇は喫煙と同じ程度だという指摘もある。そのため、福島で被曝による健康被害は起きず、事故後の調査で見つかった甲状腺がんについては「被曝と無関係に発生する割合」だという。

チェルノブイリでの一般的な避難民の最大の被曝線量は5000ミリシーベルトであり、国連科学委は「福島はチェルノブイリではない」と結論づけた。

福島事故の被曝で健康被害が起きないことについて、本誌は繰り返し「福島はチェルノブイリにはならない」という放射線防護学専門家の高田純教授の意見を報じてきた。今回の国連科学委の報告はそれを確認する結果となっている。

しかし、これまで福島の原発事故の被曝について、一部のマスコミはさんざん国民の不安を煽り続けてきた。国民の不安を和らげるためにも、国連科学委の報告を「福島は安全だ」という文脈で扱うべきだろう。

にもかかわらず、28日付毎日新聞は1面で「被ばく最大82ミリシーベルト」と、一見、健康に悪影響があるような印象を与えかねないタイトルで報道した。読売や日経、東京、産経は「健康への影響ない」などタイトルで安全性を表現したが、いずれもその扱いは小さい。

福島県の人々が安心して家に帰れるよう、各紙はもっと大々的に「福島は安全だ」と、報じるべきだろう。(居)

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