中国政府は16日、国防白書を発表し、軍や警察、民間と一体となって「富国強軍」を目指す方針を掲げた。また、尖閣問題について「日本が騒動を引き起こした」と名指しで批判するなど、習近平体制になって初めての国防白書は、日本に対する強硬姿勢が鮮明となった。17日付各紙が報じた。
白書では、中国人民解放軍の任務を「領土、領海、領空の防衛」と定義。「海洋強国を建設し、国の海洋権益を断固守ることは、人民解放軍の重要な職責である」などとうたい、日米を念頭に「ある国がアジア太平洋地域の軍事同盟を深化させ、地域の緊張を作りだしている」とも指摘した。
また、同日行われた会見では、国防省幹部が、尖閣を国有化した日本を名指しで批判。楊宇軍・副報道局長は「日本は中国の領土、主権を侵犯する行為を停止すべきだ」と主張。別の軍幹部も「戦争には反対だが、国家の核心的利益は絶対に犠牲にしない」と語った。
これに対し、日本の世耕弘成・官房副長官は同日、在日中国大使館に抗議。「尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題は存在しない。中国独自の主張に基づく言動は一切受けられない」と強調した。
北朝鮮がミサイルの発射を予告する中で、中国がこのような白書を発表する非常識さにはあきれてしまう。数日前には、ケリー米国務長官が韓国・中国・日本を歴訪し、北朝鮮に対して共同歩調をとろうと呼びかけたばかり。今回の発表で分かったことは、中国が北朝鮮に自制することを求めようが求めまいが、日本が動き出さない限り、この両国の脅威から逃れることはできないということである。
戦後の日本は、憲法9条の堅持や自衛隊を軍隊と認めないなど、およそ普通の国とは言えない状況が続いている。保守的な安倍政権も評価できる部分はあるが、期待されたほどには防衛費を増やしておらず、憲法改正の手続きを緩和する96条の改正を目指して、7月の参院選までは“安全運転"を決め込んでいる。
だが、中国や北朝鮮という独裁国家が、行儀よく7月の参院選まで大人しくしてくれる保証はどこにもない。安倍首相は本当に国民を守る気概があるのなら、侵略国家に対して憲法9条の適用除外の宣言などと並行して、原子力潜水艦や巡航ミサイルの配備などを早急に進めなければならない。夏の参院選後では遅すぎる。(悠)
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