安倍晋三首相は5日、現行憲法について「占領軍が作った憲法であったことは間違いない。形式的にはそうではないが、占領下に行われたのは事実だ」と述べた。一方、連立を組む公明党は憲法改正に慎重な姿勢を見せ、自公の間にすきま風が吹いている。

安倍首相は7月に予定されている参院選の後、憲法改正の発議要件を衆参両院の総議員の「3分の2以上」から「過半数」にゆるめるため、まず憲法96条を改正する方針を出している。

ただ、憲法96条を改正するにも、改正を支持する議員が衆参両院で3分の2以上にならねばならない。衆議院では自民党は現在過半数を占め、自公の連立では3分の2以上を確保している。だが、参議院では自公合わせても半数を割る、“ねじれ国会"となっている。この状態では憲法改正はおぼつかない。そのため安倍首相は次の参院選で3分の2以上を取ることを目標に、現在は経済政策など“安全運転"に徹している。

内閣支持率も上がっているから、このまま首尾よく参院選で自民党が圧勝すればよいが、懸念の種は、連立を組んでいる公明党が、自民党が目指す憲法9条改正に慎重な態度を取っていることだ。

公明党の井上義久幹事長は5日、「憲法全体の改正とその手続きは一体で議論していくのが適正ではないか」と発言した。議論を長引かせ、結論を先送りにする「牛歩戦術」に出た印象を受ける。

自公の意見の相違は、憲法改正にとどまらない。消費税引き上げ後の軽減税率の導入時期や、中小企業金融円滑化法の延長などでも、自民党は公明党の意見を受け流しているため、公明党の不満は募っているという(6日付読売新聞)。

このままでは公明党に足を引っ張られ、憲法改正の実現は困難となる。単に「数合わせ」や票を欲しいがために公明と組んでも、安倍首相の悲願が達成できないなら本末転倒だろう。

実際には自民党は、幸福実現党の政策をそのまま実行しようとしている。ならば筋としては、公明党ではなく、幸福実現党と組んだ方がよいということになる。特に北朝鮮や中国による国難が迫る今、この国を守り抜くために幸福実現党の力が必要なのではないか。(居)

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