一人っ子政策を取る中国での人工中絶が、40年間で約3億3000万件にのぼっていると、16日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
中国衛生部によると、一人っ子政策が始まった1971年からの40年間で、中国での人工中絶は約3億3000万件、不妊手術は約1億9600万件にのぼるという。これは、毎年およそ700万件の妊娠中絶を行い、200万人を医学的に不妊にしている計算になる。政府が妊娠中絶や不妊手術を強制しているケースも多いと見られる。
アメリカでは、最高裁が妊娠中絶を禁止する法律に違憲判決を下した1973年以降、約5000万件の妊娠中絶が行われたと見られるが、人口比を考慮にいれても中国の中絶の多さは際立つ。それ以上にショッキングなデータもある。中国では20代女性の約62%が中絶を経験したことがあるほか、重慶市では成人女性の実に9割が中絶したことがあるという調査結果も出ているのだ(2010年11月4日付 レコード・チャイナ)。
中国政府は、一人っ子政策を行わなければ、13億人の中国の人口はさらに30%増えていただろうという試算を示したことがある。しかし、一人っ子政策が人口抑制に役立ったとしても、中絶や不妊手術を強制するのはあまりに非人道的だし、中絶が普通のことであるかのようにまかり通っている現状は、やはり異常と言えよう。中国の国家体制が、人命の価値を尊重しない唯物論国家であることも、一因であるのかもしれない。
一方で、妊娠中絶と女性の「産む権利」は、世界的な問題である。日本でも年間に報告されいてるだけで約20万件の人工中絶(2010年)が行なわれているが、実際にはもっと多いと推定されており、中絶が善なのか悪なのかについての検証が必要と言える。
ここで問題になるのは、胎児にはいつから魂が宿るのかということだろう。幸福の科学の霊査によれば、胎児の魂は妊娠9週目ほどで肉体に宿るため、霊的観点から言えば、それ以降の中絶は殺人と変わらないことになる。
大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、著書『心と体のほんとうの関係。』で、「中絶(人工流産)の問題は、結局、『ほとんどの人たちが、魂の生まれ変わりのメカニズムを分かっていない』ということが原因で起こっています」と述べている。 「人間の魂はいつ肉体に宿るのか」という霊的真実を抜きにして、人工中絶問題を論じることはできない。(飯)
【参考記事】
2012年2月8日付本欄 米国内を二分するテーマ「妊娠中絶の是非」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3797
【参考書籍】
幸福の科学出版ウェブサイト 『心と体のほんとうの関係。』大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=124