いじめ問題への対処法を考える「いじめ解決セミナー&パネルディスカッション」が20日、いじめを受けた高2生徒の自殺事件(2011年10月)が起きた滋賀県大津市で開かれた。21日付の読売新聞・産経新聞・京都新聞等で紹介されている。主催はNPO「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」。代表の井澤一明氏は、いじめの専門家としてテレビなどに出演しており、弊誌でも連載中。
井澤氏は、いじめ対策の基本として具体的な内容について講演。「保護者がいじめについて学校へ相談や訴えに行く場合は複数で出向いたり、録音記録などの証拠を提示したりすると効果的」などと話し、「いじめを許さない校風にするよう、今後も学校現場に求めていく」と決意を語った。
パネリストの一人で大津市在住の青木和代さんは、2001年に息子の悠さん(当時16歳)を少年2人からの暴行で亡くした。青木さんは「いじめによる自殺を防ぐためにも、あらゆる場で命の大切さを訴えたい」と語った。大津市議会議員の古尾谷雅博氏は、2011年のいじめ自殺事件について「当初学校は『いじめはない』としていたのに、後になって認めた。教員らが情報を共有しづらいとすれば、その要因は何なのか明らかにすべき」と指摘した。
参加した大津市の50代主婦は、本誌取材に対し次のように話した。
「参加者が多く、関心の高さを感じました。いじめについても、他人ごとであってはいけないと思いました。今後、いじめで困っている方がいたら、相談に乗るなど、自分に出来ることをしたい」
井澤氏が講演した「学校には複数で出向く」「録音記録などの証拠を提示する」などの方法は、いじめ隠蔽と戦うために不可欠な自衛手段だ。大津市の事件でも、「男子生徒が自殺の練習をさせられていた」というアンケート結果が公表されず、事件の調査が短期で打ち切られるなど、組織的な隠蔽があったことが分かっている。最終的には警察が学校の家宅捜索に踏み切り、加害者生徒は刑事告訴された。また、第三者委員会が結成されていじめの調査を行っており、1月中に最終報告書をまとめる方針だ。しかし、警察の捜査は遺族が4回も被害届を出してようやく実現。第三者委員会に外部の識者を入れるのも、遺族の強い希望によってやっと実現したことだった。
正しさを見失い、自己保身からいじめを隠蔽する傾向が強い現状の教育現場において、いじめと戦うためには、井澤氏の言う自衛手段を取り、第三者機関を入れるなどして、隠蔽体質をただす機運を高めねばならない。(晴)
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