思えば、民主党政権下の3年あまり、いかに滑り落ちるような不況と闘うかが、経済政策のテーマだった。

それが、安倍政権の誕生で、ようやく滑り止まった感がある。インフレ目標や日銀法の改正などを首相が口にすることで、市場に期待が広がり、株価が上がっているのが、その表れだ。

しかし、考えてみれば、2%程度のインフレや3%程度の名目GDP(国内総生産)は、単なる不況の克服に過ぎず、政府や国民が一致団結して目指すような目標とは言えない。

日本以外の先進国では、その程度の経済成長はとうに実現しているからだ。

その意味で、7日付産経新聞の1面コラム「経済が告げる」で、同紙編集委員の田村秀男氏が、「名目GDPを毎年3、4%成長させる案は結構だが、それはプロセスである。終着点はいっそのこと、名目GDPでの対中再逆転に置いてはどうか」という提案をしているのは、ようやく出てきた未来への明るい目標と言える。

幸福実現党では、2009年の立党時から、「GDP世界一」を経済政策の目標の一つに掲げてきた。08年のリーマンショック以降の不況下では、絵空事のようにみなされてきた提案だったが、ここにきてようやく似た考えが出てきたわけだ。

GDP世界一を実現するプロセスとして、GDPの対中再逆転は、魅力ある目標だ。そもそも中国に逆転されて世界3位に落ちた主たる理由は、中国の急成長というよりも、日本の20年近くにわたる長期停滞にあるわけだから、これは十分実現可能な目標だろう。

安倍政権下で、再逆転のための経済政策が真剣に議論されることを期待したい。(村)

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