宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2014年度にも、大型の無人飛行機の開発に乗り出すことを、このほど日経新聞が報じた。全長は10~15メートル、横幅30~40メートルで、日本製の無人機としては最大。高効率エンジンを開発するとともに、太陽電池を補助電源に使うことで、1回の燃料補給で3日間飛べるという優れものだ。

この無人機は高度1万5000メートル以上を飛び、赤外線カメラやマイクロ波で昼夜や天候にかかわらず地表を撮影できる新型レーダーなどが積まれる予定。自然災害や火山噴火、大規模火災の状況把握などに使うことを想定しており、2022年ごろの実用化を目指すという。

重要なのはここからだ。記事の後半でさらりと触れているが、この無人機には、海の上に浮かぶ船を自動識別する装置の受信機など、用途に応じて様々な機器を搭載できるといい、不審船の発見などの用途も想定される。つまり、国防にも利用できるのである。

防衛省は2009年12月、初めて無人ジェット機の自立飛行に成功。今年11月には、弾道ミサイルの発射を早期に探知する国産の無人偵察機の開発に着手する方針を固めた。高感度の赤外線センサーを備え、中国や北朝鮮の軍事行動に目を光らせる。22時間ほどの連続航行で、2020年度の実用化を目指している。

無人航空機は、操縦者が母国にいながら、遠隔操作で敵地の空を飛び、偵察や監視、攻撃を加えることもできる。操縦者に身体的な危険は及ばず、操縦が終われば自宅に帰る、という生活も送れる。

アメリカやイスラエルなどは、攻撃も可能な無人航空機を活用しているが、中国や北朝鮮という脅威と背中合わせの日本も、本格的な導入を進める時代に来ている。(格)

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