JAXAが来年打ち上げを予定している人工衛星「ALOS2」について、「尖閣諸島の監視強化だ」と中国が反発している。

中国中央テレビは「ALOS2」について、人工衛星の打ち上げ目的が尖閣諸島周辺の船舶の監視であるとしながらも、「衛星による監視は日本のはったりにすぎない」と報じた。

「ALOS2」は陸域観測技術衛星「だいち」の後継機で、災害状況把握や資源探査、地域観測などの幅広い分野で利用される。またJAXAによれば、「尖閣諸島や竹島といった領有権を巡る問題への対応も視野に入れている」とし、偵察衛星としての国防への利用も示唆した。

偵察衛星とは宇宙の、それも低軌道を周回する衛星。比較的攻撃を受けにくい宇宙空間より地上や海上を見下ろし敵部隊や基地、その他戦略目標の動きを画像情報として手に入れることができる。アメリカでは米空母打撃群などの部隊の行動の助けとしても使われている。

偵察衛星というと、スパイ映画のように、相手の上空にとどまりリアルタイムで監視するというイメージがあるが、実際のところ偵察衛星がその標的の上空にいるのは数分程度であり、動画撮影は不可能である。また、送られてくる画像はリアルタイムではないので、移動式の弾道ミサイルなどではその地点には既にとどまっていないことが考えられる。

だが、監視という行為だけが偵察衛星の仕事ではない。核兵器の本質と似たようなもので、「そちらの国を定期的に監視しているぞ」という政治的メッセージを含んでいるのだ。

また、先だって大川隆法総裁による遠隔透視で発覚した中国秘密軍事基地を例にとれば、いくら極秘基地とはいってもそこに通ずる交通路や、電力を供給する電線、はては夜間に発する熱量など、様々なことがわかる。

中国が反対することは「日本にしてほしくないこと」の裏返しでもある。「ALOS2」を抑止力とするために、日本も中国に負けずに「はったりではなく、きちんと監視していますよ」くらいは言うべきであろう。(悠)

【関連記事】

2012年10月9日付本欄 トクマ、 ユニクロに「尖閣は日本領」Tシャツを提案

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4990

2012年10月8日付本欄 米軍頼みでは日本は尖閣を守れない

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4985