中国政府は23日、27日に北京で開催を予定していた日中国交正常化40周年式典を延期すると日本側に通知した。日本が尖閣諸島を国有化したことへの対抗措置だ。1972年の国交正常化以来、式典は10年おきに開かれているが、中止は初めてとなる。

また、23日午後、大連で改修していた中国初の空母ワリャーグが中国海軍に引き渡され、近く就役することになった。ワリャーグは、試験と研究、訓練に用い、国威発揚と国産空母の建造につなげるものとみられる。

ちなみに、空母は現代海軍の中心となる艦船だが、世界で最初に設計段階から空母として建造されたのは日本の「鳳翔」で、1922年に竣工し、1932年の第一次上海事変で出撃している。従って、日本に少なくとも90年も遅れての空母建造は、それ自体で軍事的な脅威となるわけではない。

しかし、中国が海洋権益の拡大を明確に意図している点を考えれば、その政治的意味は小さくない。

次期中国共産党総書記に内定している習近平国家副主席の対日戦略が、明らかに反日的で強気になってきている点、日本は十分警戒しておく必要がある。

「週刊朝日」最新号では、先週中国各地で拡大した反日デモについて、石原慎太郎都知事が尖閣諸島を都で購入すると発言した"スタンドプレー"によって、日本政府が国有化に追い込まれてしまったことが原因とする記事を書いている。

この手の「日本側が中国を刺激しさえしなければ、何も起きなかった」式の議論には気をつける必要がある。刀を抜かないと分かっている相手ほど、恐喝の相手として相応しい存在はないからだ。明確にNOという態度を取らなければ、ますます相手はつけあがることになるだろう。

今後も、あの手この手のプレッシャーをかけてくることが予測されるが、中国の強硬姿勢については、「言うべきことを、なすべきことをなす」ことが肝要だ。(村)

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