2007年12月号記事

特別鼎談

教員界に根強く残る“全体主義”をどうなくすか

教育アナリスト 規制改革会議専門委員 戸田忠雄

(とだ・ただお) 1937年兵庫県生まれ。東北大学教育学部卒。長野県の私立・公立高校教員、公立高校校長、予備校校長などを経て、現職。NPO法人XYサタデースクール代表。著書に『学校は誰のものかーー学習者主権をめざして』(講談社現代新書)、『「ダメな教師」の見分け方』(ちくま新書)、共著に『教育バウチャー』(明治図書)など多数。

教育評論家 森口 朗

(もりぐち・あきら) 1960年大阪府生まれ。東京都庁職員。中央大学法学部卒。東京都庁に入り、下水道局、衛生局勤務。95年、都内の小学校に転出。養護学校、都立高校を経て現在は再び東京都庁に勤務。著書に『偏差値は子どもを救う』(草思社)、『授業の復権』『戦後教育で失われたもの』『いじめの構造』(いずれも新潮新書)、『教師は生まれ変わる』(幸福の科学出版)など。

大阪教育連盟事務局長 以倉孝憲

(いくら・たかのり) 1955年、大阪府生まれ。大阪音楽大学卒。兵庫県と大阪府の公立中学校教員を経て、現在大阪府立の養護学校に在職。2002年、大阪教育連盟に加入し、03年より事務局長。日本会議会員。新しい歴史教科書をつくる会会員。著書に『「教育改革」はなぜ失敗するのか』(PHP研究所)がある。

福田新政権のもとでも教育再生会議は存続し、今後第三次報告も予定されているが、教育改革のトーンは明らかに低下している。しかし、現在の学校の危機的状況を見れば、教育改革が道半ばであることは明らかだ。はたして問題の核心はどこにあるのか? 今月号の後編では、「学校選択制・バウチャー制などの競争原理の導入」「教員の資質向上」「モンスターペアレント」などを考える。

(前編の概要)

教育再生会議では明確に「ゆとり教育の見直し」が提言されたが、「ゆとり教育」は結果的に基礎・基本が疎かになり、学力の二極化が進んでしまった点で、政策ミスだったと言わざるを得ない。

同じく教育再生会議で提言された「徳育の教科化」に関しては、そもそも「教員の側の規範意識をどう高めるか」という問題が大きく、国の関与の仕方については識者の意見が分かれたが、「善悪を教える教育」「『宗教に関する一般的教養』を尊重する教育」は大切と言える。

「いじめ対策」については、学校内に市民社会のルールを確立し、被害者の救済のために「いじめ防止法」を制定したり、校則に組み込むなどルールとして規範を確立することがいじめ予防策になる。

(なお、当初9月に予定されていた「全国学力テスト」結果の公表は、分析などに時間がかかっていることなどから10月以降に延期された(10月11日現在)。)