今ほど、社会学者の清水幾太郎(1907~1988)の思想に光を当て直すべき時はない。

清水幾太郎は、丸山眞男と並ぶ左翼側のオピニオン・リーダーだったにもかかわらず、60年安保で敗れ去った後、突如、保守陣営に転じ、国防の強化と憲法の改正を訴えて、戦後の保守思想を引っ張った人物だ。戦前、戦中、戦後と異なる三つの時代を駆け抜けただけに、その思想には独特の迫力とリアリズムがある。

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